专利摘要:
本発明は、抗ヘッジホッグ抗体、組織中のヘッジホッグの発現の検知におけるその使用、及び癌の治療におけるそのような検知の使用に関する。
公开号:JP2011511762A
申请号:JP2010540846
申请日:2008-12-22
公开日:2011-04-14
发明作者:スザンナ;ジェイ. スケールズ,
申请人:ジェネンテック, インコーポレイテッド;
IPC主号:C07K16-18
专利说明:

[0001] (関連出願の相互参照)
この出願は開示の全体が出典明示によりここに援用される2007年12月28日出願の米国仮出願第60/017232号及び2008年9月24日出願の米国仮出願第61/099864号の優先権を主張する。]
[0002] 本発明は、一般的に、癌の診断及び腫瘍におけるタンパク質発現の検知の方法に関する。より具体的には、本発明は、ほ乳類のヘッジホッグに結合する抗体、及びその診断における使用と、癌を含むヘッジホッグ発現によって特徴付けられる症状の治療に関する。]
背景技術

[0003] シグナル伝達分子であるヘッジホッグファミリーメンバーは、無脊椎動物及び脊椎動物の胚、胎児及び成体の発生において、多くの重要な短期的及び長期的なパターン形成過程を媒介する。Drosophila melanogasterでは、単一のヘッジホッグ遺伝子が、分節性成虫原基のパターン形成を制御する。対照的に脊椎動物では、ヘッジホッグ遺伝子ファミリー(例えば、哺乳類における、Shh、Dhh、Ihh、集約的に「Hh」)が、3種類全ての胚葉から生じる、例えば左右非対称性、CNSの発生、大節及び肢のパターン形成、軟骨形成、骨格形成及び精子成形を含む細胞及び組織の増殖、分化、移動及び生存の制御に関与している。]
[0004] ヘッジホッグシグナル伝達は、ヘッジホッグタンパク質と、ヘッジホッグ受容体であるPatched(Ptch)及び補助受容体のSmoothened(Smo)との相互作用により生じる。Ptchには、2種類の哺乳動物ホモログ、Ptch−l及びPtch−2(集約的に「Ptch」)が存在し、これらはいずれも、ステロール感受性ドメインを含む12回膜貫通型タンパク質である(Motoyama等,ature Genetics l8:104-106(1998),Carpenter等,P.N.A.S.(U.S.A.)95(23):13630-40(1998))。HhとPtchとの相互作用により、シグナルカスケードが誘発され、結果的にGliファミリーのジンクフィンガー転写因子による転写制御が起こる。]
[0005] 悪性腫瘍(癌)は、米国において、心疾患に次ぐ第2の主要死因である(Boring et al.,CA Cancel J.Clin.43:7(1993))。癌は、以下の1つ以上の特徴から特徴付けられる:(1)増殖して腫瘤を生成する正常組織から生じる異常細胞、即ち新生物細胞の数の増加、(2)これら新生物の腫瘍細胞による隣接組織の浸潤、(3)最終的に血液又はリンパ系を通して局所リンパ節に広がり、また転移と称されるプロセスにより遠隔部位に広がる悪性細胞の発生。癌状態では、細胞は、正常細胞が成長しない条件下で増殖する。癌は様々な形態で表れ、種々の程度の感染度と病原力により特徴付けられる。]
[0006] 多くの場合、発生において活性であり、成人において殆ど非活性の経路、ヘッジホッグシグナルの再活性化が、幅広い種類の癌及び発がんに関わる。癌におけるHhシグナルの最初の例は、患者が頻繁に基底細胞癌に罹患し、また髄芽細胞腫及び横紋筋肉腫を生じやすく、Ptchにおける非活性化変異、結果としてHh経路の活性化が原因である、Gorlin症候群の発見において見出された(Hahn等1998 Cell 85 p841; Johnson等1996, Science 272 p1668)。Ptchにおける二次的な非活性化変異(約90%)及び/又はSmoにおける活性化変異(約10%)が散発性基底細胞癌(Xie等1998, Nature 391 p90)の原因として見出された。]
[0007] 近年、異なる種類のHh関連癌が存在し、それは、経路活性化の変異活性化というよりは、むしろHhリガンドの分泌に依存していることが明らかとなった。このような癌は、前立腺、膵臓及び小細胞肺癌を含む(Watkins等2003, Nature 422 p313; Thayer等2003 Nature 425 p851; Berman et al 2003 Nature 425 p846)。このような癌の集団は、Smo又は抗Hh抗体5E1の小分子アンタゴニストのようなHhアンタゴニストによって治療することができる(Chen等2002,PNAS 99 p14071; Williams等2003 PNAS 100 p4616; Rubin及びSauvage 2006 Nature Reviews Drug Discovery 5 p1026)。全てのHh発現腫瘍がこのようなアンタゴニストに応答するのではないが、Hhを発現しないこれらは、応答しない;実際、Hh陰性のDLD−1結腸異種移植モデルは、Hh−陽性LS180、HT29及びHT55腫瘍モデルが(Yauch/de Sauvage等 Jan 2008)である条件下、このような治療によって阻害されない。結果として、全体の応答速度を最大化するために、ヘッジホッグ分泌腫瘍を同定するために、ヘッジホッグアンタゴニストを適用する以前のヘッジホッグ発現を決定する効果的な技術が必要とされている。]
[0008] 現在利用可能な、哺乳類のヘッジホッグに結合する抗体(例えば、H160、Santa Cruz Biotech)は、バックグラウンド染色の非存在下で十分な感度を示さないので、ヘッジホッグシグナルの存在を検出するための効果的ではない試薬である。これは、特にFFPE(ホルマリン固定パラフィン包理)組織標本について当てはまる。]
[0009] 結果として、特区にFFPE組織標本において、診断アッセイ及び治療計画の両者においてヘッジホッグの発現を検出するための使用のために、哺乳類のヘッジホッグ(例えば、ソニックヘッジホッグ、インディアンソニックヘッジホッグ及びデザートヘッジホッグ)に結合する抗体が必要とされている。]
[0010] 本発明は、抗ヘッジホッグ抗体、及びヘッジホッグ発現の検出及びヘッジホッグ応答癌を含む治療におけるそれらの使用を提供する。]
[0011] 一実施態様では、本発明は重鎖及び軽鎖、ここで重鎖は、HCFR1−HCHVR1−HCFR2−HCHVR2−HCFR3−HCHVR3−HCFR4−CRを、軽鎖は、LCFR1−LCCDR1−LCFR2−LCCDR2−LCFR3−LCCDR3−LCFR4を含む、抗ヘッジホッグ抗体に関する。特定の態様では、抗Hh抗体は、95.9の重鎖及び軽鎖配列を含む。]
[0012] 別の実施態様では、本発明は、組織を抗ヘッジホッグ抗体に接触させ、結合強度を測定することを含み、ここで、抗ヘッジホッグ抗体が、アミノ酸残基70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグに結合する、組織中のヘッジホッグ発現の検出方法に関する。特定の態様では、組織は腫瘍又は癌である。更に別の態様では、組織は測定の前に宿主から除かれる。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体に接触する前の組織サンプルがFFPEである。更に特定の実施態様では、測定方法がIHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される。特定の実施態様では、結合強度は、抗H160抗体のものより大きい。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体は、ptchのShhへの結合に競合しない。更に特定の実施態様では、抗Hhは、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される。]
[0013] 更に別の実施態様では、本発明は、抗ヘッジホッグ抗体がアミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合する、腫瘍組織又は腫瘍の周辺組織に、抗ヘッジホッグ抗体を接触させること、及びヘッジホッグが正常組織に比べ、前記組織内で過剰に発現しているかどうかを決定することを含み、ヘッジホッグアンタゴニストに応答する腫瘍を同定するための方法に関する。特定の実施態様では、組織は測定の前に宿主から除かれる。特定の態様では、組織は測定の前に宿主から除かれる。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体に接触する前の組織サンプルがFFPEである。更に特定の実施態様では、測定方法がIHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される。特定の実施態様では、結合強度は、抗H160抗体のものより大きい。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体は、ptchのShhへの結合に競合しない。更に特定の実施態様では、抗Hhは、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される。]
[0014] 更なる実施態様では、本発明は、
(a)患者から切除した腫瘍組織及び/又は腫瘍の周辺組織に、抗ヘッジホッグ抗体を接触させることを含み、ここで、前記抗ヘッジホッグ抗体が、アミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合し、
(b)ヘッジホッグの発現の存在を検知し、
(c)ヘッジホッグの発現を、正常又は腫瘍に関連しない同じ型又は由来の組織の発現と比較し、ヘッジホッグが過剰に発現している場合は、
(d)患者をヘッジホッグアンタゴニストで治療すること
を含む患者の癌の治療計画に関する。]
[0015] 特定の態様では、組織は測定の前に宿主から除かれる。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体に接触する前の組織サンプルがFFPEである。更に特定の実施態様では、測定方法がIHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される。特定の実施態様では、結合強度は、抗H160抗体のものより大きい。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体は、ptchのShhへの結合に競合しない。更に特定の実施態様では、抗Hhは、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される。]
[0016] 更なる実施態様では、本発明は、抗ヘッジホッグ抗体がアミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合する抗ヘッジホッグ抗体、並びにそのような組織をそのような抗ヘッジホッグ抗体と接触させること、及び結合の強度を測定することを含む、組織中でヘッジホッグが過剰発現しているかどうかを決定するための指示書を含む、ヘッジホッグ発現を測定するための製造品(キット)に関する。特定の態様では、組織は腫瘍又は癌である。更に別の態様では、組織は測定の前に宿主から除かれる。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体に接触する前の組織サンプルがFFPEである。更に特定の実施態様では、測定方法がIHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される。特定の実施態様では、結合強度は、抗H160抗体のものより大きい。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体は、ptchのShhへの結合に競合しない。更に特定の実施態様では、抗Hhは、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される。]
[0017] 更なる実施態様では、本発明は、組織を抗ヘッジホッグ抗体と接触させること、及び結合の強度を測定することを含み、組織がヘッジホッグ抗体に結合して、ヘッジホッグシグナルを過剰発現しているかどうかを決定することを含み、ここで、抗ヘッジホッグ抗体は、アミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合する、癌を発生するリスクのある患者の異常組織の成長をスクリーニングする方法に関する。特定の態様では、組織は腫瘍又は癌である。更に別の態様では、組織は測定の前に宿主から除かれる。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体に接触する前の組織サンプルがFFPEである。特定の実施態様では、結合強度は、抗H160抗体のものより大きい。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体は、ptchのShhへの結合に競合しない。更に特定の実施態様では、抗Hhは、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される。更に特定の実施態様では、測定方法がIHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される。]
[0018] 更なる実施態様では、本発明は、(a)癌の存在が疑われる組織又はそのような癌の周辺組織に、抗ヘッジホッグ抗体を接触させ、ここで、前記抗ヘッジホッグ抗体が、アミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合し、(b)ヘッジホッグが過剰発現していることを決定し、(c)ヘッジホッグアンタゴニストで処理することを含む、癌を治療する方法に関する。更に別の態様では、組織は測定の前に宿主から除かれる。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体に接触する前の組織サンプルがFFPEである。更に特定の実施態様では、測定方法がIHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される。特定の実施態様では、結合強度は、抗H160抗体のものより大きい。更に特定の実施態様では、抗Hh抗体は、ptchのShhへの結合に競合しない。更に特定の実施態様では、抗Hhは、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される。]
図面の簡単な説明

[0019] 図1AからFは免疫蛍光(IF)による、Shhで形質転換したCOSを特異的に認識する、親のポリクローナル抗Shh抗体(「59pAb」)及びその誘導体である、モノクローナルrMabの結合を示す、ミクログラフを示す。安定に形質転換したヒトShhの存在下又は非存在下のCos−7を固定化し、透過し、ウサギ抗体で染色し、Cy−3をコンジュゲート化した抗ヒトで検知し、蛍光顕微鏡で調べた。Shh−COS(A)又は形質転換していない(B)細胞における59A+Bポリクローナル;C)Shh−COS細胞におけるH−160;D)Shh−COSにおける無関係rmAb;Shh−COSにおける精製95.9rMab(E)及び形質転換していない(F)細胞。スケールバーは30μmである。] 図1A
[0020] 図2AからFは、ポリクローナル抗Shh抗体(「59pAb」)及びその誘導体であるrMabが、Shhで形質転換した293細胞を特異的に認識することをIHCによって示す。形質転換していない(B、F)又はヒトShhで一時的に形質転換した(A、C、E)293細胞ペレットのFFPE切片を、TARGETretrievalで処理し、示したウサギ抗体、次いでHRP抗ウサギ抗体で処理し、ABCペルオキシダーゼEliteで検出した。A)Shh−293細胞におけるイレレバントウサギ抗体(R&Dシステム);B)Shh−293細胞におけるH−160(SantaCruz)(C)又は形質転換していない(D)Shh293における精製95.9rMab(E)及び形質転換していない(F)細胞。サンプルA、B及びDは、TSA−HRP増幅にかけ、結果して、幾らかバックグラウンドを染色し、したがってこの工程は残りのサンプルから省略される。スケールバーは50μmである。] 図2A
[0021] 図3:パネルA、AからLはモノクローナル抗体95.9、95.7及び95.3はまたIhh及びDhhと交差反応をすることを示すミクログラフである。全長ヒトShh(上段)、Ihh(中段)及びDhh(下段)で形質転換したCOS細胞は、アフィニティー精製した95.3(1−3)、95.7(4−6)、95.9(7−9)又はH−160(10−12)を用いて、図1の通り免疫蛍光処理した。スケールバーは30μmである。パネルB、形質転換していない(WT)又はDhh、Ihh又はShh全長タンパク質で指示したとおり形質転換し、5mg/mlの精製95.9rMab(パネルの上部)又はH−160(パネルの下段)で免疫染色した、293細胞のウェスタンブロットである。95.9は、形質転換していない細胞で染色されるH−160である、約98kDaのバックグラウンドバンドを認識しないが、両方の抗体は、分泌されたHh−N末端(約22kDa)だけでなく、3つの全長(FL)Hhタンパク質(約50kDa)を認識する。kDaで目印を付けた分子量を左に示す。] 図1 図3
[0022] 図4AからBは、95.9、95.7及び95.3のN末端の配列を示す。これは、同じサブクローンである可能性があることを示す。A)95のサブクローンと同一であると仮定される3個のサブクローンの軽鎖のN末端配列は、配列に揺らぎがある位置と実質的に同一である。括弧内のアミノ酸残基は、曖昧なアミノ酸を示し、ダッシュは、決定できないアミノ酸の位置を示し、斜体は、得られたN末端配列とDNAシーククエンシング及びコンセプト翻訳(2列目)によって決定される95.9の実際にクローニングされた配列の差異を示す。アミノ酸位置番号(1において開始する欠失シグナル配列と共に番号付けられる)は、表の最上段において示される。B)95サブクローン重鎖のN末端の配列は、内因性メラノーマ細胞重鎖の存在によって複雑化し、よって2(部分的に混合した)個の配列がそれぞれのサブクローンについて示される。位置20のグルタミンの存在が予想される。] 図4A
[0023] 図5は、95.9エピトープが、ヒトソニックヘッジホッグ(配列番号:16)のアミノ酸76から90に位置することを示す。アガロースビーズに結合させた95.9を、組み換えShhと共にインキュベートし、次いでトリプシン消化にかけた。ペプチドは、95.9の結合によって、トリプシンから保護され、溶離され、質量分析計で同定され、Ihh(配列番号:17)と同一のShh領域である、アミノ酸76から90のアミノ酸配列によって確認され、Dhh(配列番号:18)(1として指定されるシグナル配列(示されていない)の最初のアミノ酸残基と共に番号付けられる、3個のHhのN末端リガンドのアラインメントにおける四角で囲った領域)と異なる3個のアミノ酸残基を含む。] 図5
[0024] 図6AからFは、IHC染色を介した、95.9がマウス胚ミクログラフを示す。A)95.9は、E10.5マウス胚の横断面の神経管腹側底盤(FP)及び脊索(NC)におけるHhを同様の条件下でH−160より強く染める(B)。C)95.9によって染色される神経管腹側底盤(FP)及び脊索(NC)のE11.5矢状断面。D)神経管(矢印)に沿った神経管腹側からのHhの可能性のある拡散グラジエントを示すE11.5胚を示す。E)95.9は、下の拡大に示すE11.5マウスの脳の発生の神経上皮細胞を染める。TV、終脳胞;第4脳質。F)中腸の発生を通じた、E11.5矢状断面であり、ルーメン(矢印)を囲む上皮細胞における期待される発現及び間充組織におけるシグナルの欠如を示す。] 図6A
[0025] 図7AからEは、抗HhAb95.9によるIHC染色がShhの翻訳レベルとよく一致することを示す。36個のヒト結腸癌細胞株をShhのmRNAのQ−PCR分析及び精製95.9抗HhrMabを用いたIHC分析(FFPE)に平行してかけた。上部のパネルは、以下の4個のIHCスコアリングカテゴリー:A)幾つかの非特異的な核染色は、認められないが、Hhネガティブ細胞株、IHCスコア0+、B)IHCスコア1+(弱い染色)、C)2+IHCスコア(穏やかな染色)を示す細胞、D)強い染色(3+IHCスコア)を示す細胞、に入る代表的な細胞ペレットの像を示す。スケールバーは50μmである。図6Eは、それぞれのスコアグループにおける相対的なShhのmRNAのレベル(Q−PCR分析からのデルタCt値)を示し、より低いCt値を有する(より高いmRNAレベル)より強い95.9染色に対する傾向を示す。この相関のスピアマンの係数は、−0.160であり、統計的に有意である(p=0.0001)。] 図6E 図7A
[0026] 図8AからDは、95.9がShh−ではなく、Shh+の卵巣癌標本を染めることを示す。ヒト卵巣癌標本のShhに対するアンチセンスプローブを用いたインサイツハイブリダイゼーションは、腫瘍上皮A)及び他のB)におけるShhのmRNA(黒点)を発現する、1個の標本は、バックグラウンドのセンスプローブよりも大きなシグナルを示さない(示さず)。同じ腫瘍の95.9染色は、Shh+腫瘍上皮においてのみ、ポジティブの細胞質及び膜シグナル(褐色)を示し、Shhネガティブ標本では示さない。スケールバーは25μmである。] 図8A
[0027] 図9AからBは、抗HhAb95,9による腫瘍TMAのIHC染色は、それぞれ、結腸におけるHh発現、卵巣及び膵臓癌、における異なる部レベルのHhの発現を検出することを示す。95.9抗体で染めた通常及び腫瘍サンプルのアレイからの、A)結腸(上段)、卵巣(中段)及び膵臓(下段)の代表的なHhネガティブ(0+)、低い(1+)、中程度(2+)、高い(3+)の像を示す。B)染色されたサンプルの総数をそれぞれの腫瘍のタイプについて示し、調査した合計の数及びパーセントが各発現レベルのカテゴリーに入る95.9染色について示される。] 図9A
[0028] 図10AからFは、IHC染色によって、抗HhAb95.9が、毛嚢におけるHhの低レベルを検知するために十分に感度があることを示す。A)95.9でラベル化したC57BL/6の4週齢のマウスの皮膚は、毛嚢が、髪が成長期にある4週齢においてShhシグナルを示す。B)外毛根鞘におけるシグナルを示す、アンチセンスShhプローブを使用する胎児ヒト皮膚(頭皮)の水位縦断面図のインサイツハイブリダイゼーション。95.9(C)又はH160(D)で染めたヒト胎児頭皮の横断面図。(B)におけるISHシグナルに一致する、皮膚乳頭の上の近傍上皮における染色を示す、95.9(E)又はH160(F)で染めた胎児ヒト頭皮の、水位縦断面図。スケールバーはC、Dにおいて、50μmであり、全ての他のパネルにおいて、25μmである。] 図10A
[0029] 図11AからBは95.9アミノ酸配列を示す。95.9の成熟配列重鎖(A)(配列番号:19)又は軽鎖(B)(配列番号:20)(Fcドメインを含む)をコードするクローン化したDNAを、インフレームで、一般的な抗体のシグナル配列(四角)融合し、翻訳した。] 図11A
[0030] 図12は、正常卵巣(ISH−)及び卵巣癌組織(ISH+)におけるmAb95.5及びmAbH−160を使用する免疫組織化学を示す。] 図12
[0031] I.定義
「FFPE」は、ホルマリン固定パラフィン包埋を意味し、これは、解剖又は生検から得られる組織であり、これは次いで、変性を妨げるために、固定化され、組織学的、病理学的又は細胞学的な研究を可能にする。この固定化した組織は、次いで、その微細切片を切断するために、ワックス中に包理され、次いで、ヘモトキシリン及びエドシン染色で染め、その後、微細切片へと切断することにより、ミクロトーム処理が実施される。固定化は、組織が更なる研究のために固定化、殺傷、保存される工程である。固定化は、染色試薬を通しやすくし、所定の場所に固定化し、係止するため、高分子をクロスリンクする。任意の適切な固定化剤、例えば、ウシ溶液、ホルマリン、又は液体窒素がこの目的のために使用される。]
[0032] 「ヘッジホッグ応答性癌」は、ヘッジホッグシグナルに媒介される又は関連する癌又は腫瘍であり、従って、ヘッジホッグの存在(即ち、ソニックヘッジホッグ、インディアンヘッジホッグ及び/又はデザートヘッジホッグ)が癌又は腫瘍の生存及び/又は成長のために必要又は不可欠である。そのようなヘッジホッグは、自己分泌(即ち、腫瘍自身によって産生される)又は傍分泌であり、ヘッジホッグは腫瘍又は癌の周辺の細胞によって産生される。特定の実施態様では、「ヘッジホッグ応答性癌」は、ヘッジホッグアンタゴニストの適用によって処理される。]
[0033] 特定の組織又は腫瘍中の、ヘッジホッグの「過剰発現」は、同じ組織型又は由来の非疾患組織のために存在するものより高いレベルで発現しているか、又はヘッジホッグ応答性癌である腫瘍又は癌の近辺にあり、正常、又は非疾患状態のような、ヘッジホッグ応答性癌が存在しない場合に発現されるヘッジホッグと比較して、より高レベルでヘッジホッグを発現しているような、ポリペプチドをコードするポリペプチド及び/又は核酸のような、ヘッジホッグに関する。このような過剰発現は、遺伝子増幅により、又は転写又は翻訳を増加させることにより引き起こされてもよい。ヘッジホッグ過剰発現は、細胞表面のヘッジホッグタンパク質の増加レベルを評価することにより、診断又は予後アッセイで決定されうる(例えば、本発明の抗ヘッジホッグ抗体を使用する免疫組織化学アッセイによる)。あるいは、又は加えて、細胞中のヘッジホッグポリペプチドコード化核酸又はmRNAのレベルを測定してもよい、例えば、蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH;1998年10月公開の国際公開第98/45479号参照)、サザンブロット法、ノザンブロット法、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、例えばリアルタイム定量PCR(RT−PCR)。また、血清のような生体液中の脱落抗原を測定することにより(例えば、1990年6月12日に公開の米国特許第4,933,294号;1991年4月18日公開の国際公開第91/15264号;1995年3月28日公開の米国特許第5,401,638号;及びSiasら, J. Immunol. Methods132: 73-80(1990)もまた参照されたい)ヘッジホッグポリペプチド過剰発現を研究してもよい。前記アッセイのみならず、様々なインビボアッセイが技術熟練者において利用できる。例えば、検知できるラベル、例えば放射性同位体で任意に標識された抗体に患者の体にある細胞を暴露してもよく、患者の細胞への抗体の結合は、例えば放射活性の外側スキャンニングにより、又は抗体に先に暴露された患者から得られたバイオプシーを分析することにより評価される。]
[0034] 「ヘッジホッグアンタゴニスト」は、ヘッジホッグシグナルを、ヘッジホッグシグナル経路の因子に直接結合し、それによって、そのような因子間のシグナル伝達を阻害するか、又はヘッジホッグシグナル経路の因子が、ヘッジホッグシグナル伝達を阻害するために、天然の結合相手に結合することを阻害することによって、拮抗又は阻害する、抗体、その抗原結合断片、他の生物学的分子又は小分子である。]
[0035] ここで用いる「ヘッジホッグシグナル経路」、「ヘッジホッグ経路」及び「ヘッジホッグシグナル伝達経路」という用語は、ヘッジホッグ及びそのレセプター(例えば、patched、patched−2)により媒介されるシグナルカスケード、及び遺伝子発現の変化や他のヘッジホッグ活性に典型的な表現型の変化を生じさせるものを、互換性をもって参照する。ヘッジホッグが存在しない場合であっても、下流の構成成分の活性化によってヘッジホッグ経路が活性化される場合がある(例えば、ヘッジホッグの不存在下であっても、Smoothenedの過剰発現又はSmoothened若しくはPatchedの変異体のトランスフェクションにより、ヘッジホッグシグナルが恒常的に活性化される)。転写因子のGliファミリーは、しばしばヘッジホッグ経路活性化のマーカー又は指標として用いられる。]
[0036] 「Hhシグナル構成成分」という用語は、Hhシグナル経路に関与する遺伝子産物を指す。Hhシグナル構成成分は、多くの場合、細胞又は組織内でのHhシグナルの伝達に有形的又は実質的に作用し、これによって下流遺伝子の発現レベル及び/又はヘッジホッグ経路の活性化と関連する他の表現径の変化に影響を及ぼす。]
[0037] 各Hhシグナル構成成分は、その生物学的機能及び下流遺伝子の活性化又は発現の最終的な結果の作用にもよるが、正又は負の調節因子のいずれかに分類できる。正の調節因子は、Hhシグナル伝達に性に作用する、即ち、Hhが存在する場合に下流の生命現象を促進するHhシグナル構成成分である。負の調節因子は、Hhシグナル伝達に負に作用する、即ち、Hhが存在する場合に下流の生命現象を阻害するHhシグナル構成成分である。]
[0038] HhがPtchに結合すると、7回膜貫通型G結合タンパク質であるSmoothened(Smo)が放出され、次いで複雑な細胞内シグナル伝達経路が活性化される。その後、Smoの活性化によりCostal2(Cos2)、Fused(Fu)及びFused(Su(Fu))のサプレッサーを含む多分子複合体によるシグナル伝達が生じ、転写因子Gliの核内輸送が起こる(Ho et al.,Curr.Opin.Neurobiol 12:57-63(2002);Nybakken et al,Curr.Opin.Genet.Dev.12:503-511(2002);i Altaba et al.,Nat.Rev.Neurosci.3:24-33(2002))。脊椎動物では、3種類のGli転写因子が存在することが知られている:Gli1、Gli2及びGli3。Gli1は、Hh−応答性細胞内で全般的に誘起されている転写活性化因子であるが、Gli2及びGli3は、細胞の内部状態により転写の活性化因子又は抑制因子のいずれとしても作用し得る。Hhシグナル伝達がないと、Gli3は完全長Gli3のC末端領域を欠く、より小さい核内転写抑制因子にプロセシングされる。Smoが活性化されると、Gli3タンパク質の開裂が抑止され、転写−活性化機能を有する完全長型が生成する。Gli2はそのC末端切断型において抑制因子機能もコードするが、Gli2の形成はHhシグナル伝達の制御を受けないと考えられる(Stecca et al.,J.Biol.1(2):9(2002))。]
[0039] 標準的な定義:
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現させるために必要なDNA配列を意味する。原核生物に好適なコントロール配列は、例えばプロモーター、場合によってはオペレーター配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。]
[0040] 核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているならば、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるならば、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合する」とは、結合されたDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにある。しかし、エンハンサーは必ずしも近接しているわけではない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、通常の手法にしたがって、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。]
[0041] 「アンタゴニスト」なる用語は最も広義に用いられ、ヘッジホッグシグナル又はヘッジホッグシグナル経路因子の生物学的活性を、部分的又は完全にブロックし、阻害し、又は中和する任意の分子を含む。適切なヘッジホッグアンタゴニスト分子は具体的には、アゴニスト又はアンタゴニスト抗体又は抗体断片、天然ヘッジホッグポリペプチドの断片又はアミノ酸配列変異体、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、小有機分子等が含まれる。ヘッジホッグアンタゴニストを同定する方法は、ヘッジホッグシグナルが活性である細胞とGLM−Rポリペプチドと候補アンタゴニスト分子を接触させ、通常はヘッジホッグシグナルに関連している一つ又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含みうる(例えば、核のGli発現)。]
[0042] 「治療する」又は「治療」又は「緩和」とは、治療上の処置及び予防的療法又は防護的療法の双方を称し、その目的は、標的である病的症状又は疾患を防ぐか又は衰え(小さく)させることである。ヘッジホッグアンタゴニストの治療量を投与された後に、患者が次の一又は複数のものについて観察可能な及び/又は測定可能な減少又は消失を示したならば、被検体又は哺乳動物は、ヘッジホッグ応答癌に関して成功裏に「治療された」ことになる:癌細胞の数の減少、又は癌細胞の消失;腫瘍の大きさの減少;軟部組織及び骨への癌の広がりを含む、末梢器官への癌細胞の浸潤の阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止);腫瘍成長のある程度の阻害;及び/又は特定の癌に関連している一又は複数の症状のある程度の軽減;疾病率及び死亡率の減少、及び生命問題の質の改善。これらの兆候又は症状の低減は、また、患者が感じることができる。]
[0043] 疾患における成功裏の治療及び改善を評価することに関する上記のパラメーターは、医師にとってよく知られている日常的手法によって容易に測定が可能である。癌治療では、有効性は、例えば、病気の進行までの時間(TTP)の算定及び/又は反応速度(RR)を確かめることによって測定できる。転移は、ステージング試験によって、骨のスキャン及び骨への広がりを確かめるためのカルシウムレベル及び他の酵素に関する試験によって確かめることができる。CTスキャンは、また、領域の骨盤及びリンパ節への広がりを探索することで行うことができる。胸のX線、及び既知の方法による肝臓の酵素レベルの測定を、それぞれ肺及び肝臓への転移を探索するために用いる。疾患をモニタリングする他の常套的方法には、経直腸的超音波断層法(TRUS)及び経直腸的針生検(TRNB)が含まれる。]
[0044] 「慢性」投与とは、初期の治療効果(活性)を長期間にわたって維持するようにするために、急性態様とは異なり連続的な態様での薬剤の投与を意味する。「間欠」投与とは、中断無く連続的になされるのではなく、むしろ本質的に周期的になされる処理である。]
[0045] 癌の治療、症状の緩和又は診断のための「哺乳動物」とは、哺乳動物に分類される任意の動物を意味し、ヒト、家畜用及び農場用動物、動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギなどを含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。]
[0046] 一又は複数の更なる治療薬と「組み合わせた」投与とは、同時(同時期)及び任意の順序での連続した投与を含む。]
[0047] ここに開示する、そのヘッジホッグアゴニストの「有効量」とは、特に述べた目的を実施するために十分な量のことである。「有効量」は、述べられた目的に関連して、経験的及び常套的な形で決定することができる。]
[0048] 「治療的有効量」という用語は、患者又は哺乳動物の疾患又は疾病を「治療」するのに効果的な抗体、ヘッジホッグアンタゴニストの量を指す。癌の場合、特にヘッジホッグ応答性癌の場合、治療的に有効量の薬は癌細胞の数を減じ;腫瘍の大きさを減じ;末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害(すなわち、ある程度まで減速、好ましくは停止)し;腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度まで減速及び好ましくは停止)し;腫瘍成長をある程度まで阻害し;及び/又は癌に関連する一又は複数の症状をある程度まで緩和する。「治療する」のここでの定義を参照せよ。薬が存在する癌細胞の成長を妨げ及び/又は死滅させる程度まで、それは、細胞分裂停止及び/又は細胞障害性であり得る。]
[0049] 「パッケージ挿入物」という用語は効能、用法、用量、投与方法、禁忌及び/又はかかる治療製品の使用に関する警告についての情報を含む、治療製品の市販用パッケージに通常含まれる指示書を意味するために使用される。]
[0050] 抗体の定義:
「抗体」なる用語は、(完全長又は無傷のモノクローナル抗体を含む)モノクローナル抗体、多価特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、及び単鎖分子、並びに抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)、及びFv))を含む。「イムノグロブリン」(Ig)なる用語は、ここで「抗体」と可換で使用される。]
[0051] CH
基本的な4-鎖抗体ユニットは2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖から構成されるヘテロ四量体の糖タンパクである(IgM抗体は、基本的なヘテロ四量体ユニットとそれに付随するJ鎖と称される付加的なポリペプチドの5つからなり、よって10の抗原結合部位を有するが、分泌されたIgA抗体は重合して、基本的4-鎖ユニットとそれ付随するJ鎖のうち2-5つを含む多価集合を形成可能である)。IgGの場合、4-鎖ユニットは一般的に約150000ダルトンである。それぞれのL鎖は1つの共有ジスルフィド結合によってH鎖に結合するが、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて一又は複数のジスルフィド結合により互いに結合している。それぞれのH及びL鎖はまた規則的な間隔を持った鎖内ジスルフィド結合を持つ。それぞれのH鎖は、α及びγ鎖の各々に対しては3つの定常ドメイン(CH)が、μ及びεアイソタイプに対しては4つのCHドメインが続く可変ドメイン(VH)をN末端に有する。それぞれのL鎖は、その他端に定常ドメイン(CL)が続く可変ドメイン(VL)をN末端に有する。VLはVHと整列し、CLは重鎖の第一定常ドメイン(CH1)と整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。VLとVSは共同して対になって、単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性は、例えばBasic and Clinical Immunology, 8版, Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow(編), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, 71頁及び6章を参照のこと。]
[0052] 任意の脊椎動物種からのL鎖には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。また、その重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンには異なったクラス又はアイソタイプを割り当てることができる。IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMという免疫グロブリンの5つの主要なクラスがあり、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる重鎖を有する。さらにγ及びαのクラスは、CH配列及び機能等の比較的小さな差異に基づいてサブクラスに分割され、例えば、ヒトにおいては次のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2が発現する。]
[0053] 「単離された」抗体とは、その産生環境(例えば、自然から又は組み換えによる)の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものを意味する。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その産生環境の他の全ての成分が付随していない。その酸性環境の汚染成分とは、抗体の治療への使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれてもよい。好ましい実施態様では、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法によって定量して95重量%以上の、最も好ましくは99重量%以上の抗体まで、(2)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは(3)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた還元又は非還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。単離された抗体には、組換え体細胞内のインサイツの抗体が含まれるが、これは抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないからである。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。]
[0054] 抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは「VH」及び「VL」と称されうる。これらのドメインは一般的には、抗体の最も可変の部位であり(同じクラスの他の抗体と比較して)、抗原結合部位を含む。]
[0055] 「可変」という用語は、可変ドメインのある部分が抗体の間で配列が広範囲に異なることを意味する。Vドメインは抗原結合性を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を定める。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。その代わりに、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の相補性決定領域(CDR)又は高頻度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、ベータシート構造を結合し、ある場合にはその一部を形成するループ結合を形成する、3つのCDRにより連結されたベータシート配置を主にとる4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖のHVRは、FRによって近接して結合され、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabatら, Sequence of Proteins ofImmunological Interest, 5th Ed. National Institutes of Health, BEthesda, MD. (1991))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞毒性への抗体の関与を示す。]
[0056] ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を称する、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、一つの抗原部位に対応する。更に、異なる決定基(エピトープ)に対応する異なる抗体を典型的に含む通常のポリクローナル抗体製剤とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対応する。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他のイムノグロブリンを含まないハイブリドーマ培地によって合成する点で、有利である。「モノクローナル」との修飾詞は、実質的に均一な抗体の集団から得られるという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は様々な技術によって作ることができ、それらの技術には例えばハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein, Nature, 256:495 (1975);Hongo等, Hybridoma, 14 (3): 253-260 (1995), Harlow等, Antibodies: A loboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版 1988);Hammerling等: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681, (Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)、ファージディスプレイ法(例えば、Clarkson等, Nature, 352:624-628 (1991);Marks等, J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991);Sidhu等, J. Mol. Biol. 338(2):299-310 (2004);Lee等, J. Mol. Biol. 340(5):1073-1093 (2004);Fellouse, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 101(34):12467-12472 (2004);及びLee等, J. Immunol. Methods284(1-2):119-132 (2004)参照)、及びヒト免疫グロブリン座位又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有する動物においてヒト又はヒト様抗体を産生する技術(例えば、国際公開第1998/24893号;国際公開第1996/34096号;国際公開第1996/33735号;国際公開第1991/10741号;Jackobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature, 362:255-258 (1993);Bruggemann等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5545807号;同第5545806号;同第5569825号;同第5625126号;同第5633425号;及び同第5661016号;Marks等, Bio/Technology, 10:779-783 (1992);Longerg等, Nature, 368:856-859 (1994);Morrison, Nature, 368:812-813 (1994);Fishwild等, Nature Biotechnology, 14:845-851 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology, 14:826 (1996);及びLongerg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol., 13:65-93 (1995))が含まれる。]
[0057] 「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;二重特異性抗体;線形抗体(Zapata等, Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]);一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。]
[0058] 抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して命名された残留「Fc」断片を産生する。Fab断片は全長L鎖とH鎖の可変領域ドメイン(VH)、及び一つの重鎖の第一定常ドメイン(CH1)からなる。各Fab断片は抗原結合性に関して一価である、すなわち単一の抗原-結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab')2断片が生じ、これは2価の抗原結合部位を持つ2つのジスルフィド結合されたFab断片にほぼ対応し、抗原を交差結合させることができるものである。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されていることによりFab断片と相違する。Fab'-SHは、ここでは定常ドメインのシステイン残基(類)が遊離のチオール基を持つFab'を表す。F(ab')2抗体断片は、通常はFab'断片の対として生成され、それらの間にヒンジシステインを有する。抗体断片の他の化学的結合も知られている。]
[0059] Fc断片はジスルフィドにより一緒に保持されている双方のH鎖のカルボキシ末端部位を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列により決定され、その領域は、所定の型の細胞に見出されるFcレセプター(FcR)によって認識される部位である。]
[0060] 「Fv」は、完全な抗原認識及び-結合部位を含む最小の抗体断片である。この断片は、密接に非共有結合した1本の重鎖と1本の軽鎖の可変領域の二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のためのアミノ酸残基に寄与し、抗体に対する抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖から、それぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含んでなるFvの半分)でさえ、結合部位全体よりは低い親和性であるが、抗原を認識し結合する能力を持つ。]
[0061] 「sFv」又は「scFv」とも略称される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖内に結合したVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それはsFVが抗原結合に望まれる構造を形成するのを可能にする。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照されたい。]
[0062] ここで使用される「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。例えば、高頻度可変領域は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つのHVRを含み;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。天然の抗体では、H3及びL3は6つのHVRのうちで最も高い多様性を示し、特にH3は抗体に良好な特異性を与える際に特有の役割を果たすように思われる。例えば、Xu等 Immunity 13:37-45 (2000);Johnson及びWu, Methodsin Molecular Biology 248:1-25 (Lo編, Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照。実際、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ科の抗体は機能的であり、軽鎖が無い状態で安定である。例えば、Hamers-Casterman等 Nature 363:446-448(1993);Sheriff等 Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照のこと。]
[0063] 多数のHVRの描写が使用され、ここに含まれる。カバット相補性決定領域(CDR)は配列変化に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia及びLesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM HVRは、カバットHVRとChothia構造的ループの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「コンタクト」HVRは、利用できる複合体結晶構造の分析に基づく。これらHVRのそれぞれからの残基を以下に示す。]
[0064] ]
[0065] HVRは、次のような「拡大HVR」を含むことができる:VLの24−36又は24−34(L1)、46−56又は50−56(L2)及び89−97又は89−96(L3)と、VHの26−35(H1)、50−65又は49−65(好ましい実施態様)(H2)及び93−102、94−102、又は95−102(H3)である。可変ドメイン残基には、これら拡大HVRの各々を規定するために、上掲のKabat等上掲に従って番号を付した。]
[0066] 「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここで定義するHVR残基以外の可変ドメイン残基である。]
[0067] 「Kabatによる可変ドメイン残基番号付け」又は「カバットに記載のアミノ酸位番号付け」なる言い回しは、上掲のKabat 等の抗体の編集の軽鎖可変ドメイン又は重鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はHVR内の短縮又は挿入に相当する2、3のアミノ酸又は付加的なアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインには、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えばカバットによる残基82a、82b及び82cなど)と、H2の残基52の後に単一アミノ酸の挿入(Kabatによる残基52a)を含んでもよい。残基のKabat番号は、「標準の」カバット番号付け配列によって抗体の配列の相同領域でアライメントすることによって与えられる抗体について決定してもよい。]
[0068] 本願明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られるVL又はVHフレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含有するか、又は既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。ある実施態様では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下又は2以下である。]
[0069] その代わりに、本明細書のヒトHh抗体のフレームワーク及びHVRの定義は下記の通り定義され得る:(a)重鎖はHCFR1−HCHVR1−HCFR2−HCHVR2−HCFR3−HCHVR3−HCFR4−CR;ここで、HCFR1=QSVKESGGGLVQPEGSLTLTCTVS(配列番号:1)、HCHVR1=GFSLSSYDMS(配列番号:2)、HCFR2=WVRQAPGSGLEWI(配列番号:3)、HCHVR2=GGILSGGSAYYASWAKS(配列番号:4)、HCFR3=RSTITKNTNLNTVTLKMTSLTAADTATYFC(配列番号:5)、HCHVR3=ARGIYPVGTNYNI(配列番号:6)、HCFR4=WGPGTLVTVSSG(配列番号:7)、CR=QPKAPSVFPLAPCCGDTPSSTVTLGCLVKGYLPEPVTVTWNSGTLTNGVRTFPSVRQSSGLYSLSSVVSVTSSSQPVTCNVAHPATNTKVDKTVAPSTCSKPTCPPPELLGGPSVFIFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQDDPEVQFTWYINNEQVRTARPPLREQQFNSTIRVVSTLPIAHQDWLRGKEFKCKVHNKALPAPIEKTISKARGQPLEPKVYTMGPPREELSSRSVSLTCMINGFYPSDISVEWEKNGKAEDNYKTTPAVLDSDGSYFLYSKLSVPTSEWQRGDVFTCSVMHEALHNHYTQKSISRSPGK(配列番号:8)を含み得る。]
[0070] (b)軽鎖は、LCFR1−LCCDR1−LCFR2−LCCDR2−LCFR3−LCCDR3−LCFR4;ここでLCFR1=DIAVLTQTPSPVSAAVGGTVTINC(配列番号:9)、LCHVR1=QSSPSVYSNYLA(配列番号:10)、LCFR2=WYQQKPGQPPKLLI(配列番号:11)、LCHVR2=YYASTLAS(配列番号:12)、LCFR3=GVPSRFKGSGSGTEFTLTISDLECADAATYYC(配列番号:13)、LCHVR3=AGGYIDTSDTA(配列番号:14)、LCFR4=FGGGTEVVVKGDPVAPTVLIFPPAADQVATGTVTIVCVANKYFPDVTVTWEVDGTTQTTGIENSKTPQNSADCTYNLSSTLTLTSTQYNSHKEYTCKVTQGTTSVVQSFNRGDC(配列番号:15)を含み得る。]
[0071] 特定位置、例えば、Fc領域「におけるアミノ酸修飾」とは、特定されたアミノ酸残基の置換もしくは欠失、または特定されたアミノ酸残基の隣接位置に少なくとも一つのアミノ酸を挿入することを指す。特定されたアミノ酸残基の「隣接位置」への挿入とは、1または2残基以内の挿入を意味する。その挿入は、特定された残基のN末端側、もしくはC末端側の場合があり得る。]
[0072] 「親和性成熟」抗体は、その一又は複数のCDRに一又は複数の変更を有するものであって、そのような変更を有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性が改善される。一実施態様では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対して、ナノモル単位の又は更にはピコモル単位の親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において既知の方法により生産される。例えば、Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992年)は、VHドメイン及びVLドメインのシャフリングによる親和成熟を記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダムな突然変異誘発が、Barbas等, Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155 (1995);Yelton等, J. Immunol., 155:1994-2004 (1995);Jackson等, J. Immunol., 154(7):3310-9 (1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol., 226:889-896 (1992)に開示されている。]
[0073] 特定のポリペプチド又は特定のポリペプチドにおけるエピトープに「特異的に結合する」又は、「特異的な」抗体は、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチドにおけるエピトープに任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく結合するものである。例えば、本発明の抗Hh抗体は、Hhに特異的に結合するが(例えば、ヒトソニックヘッジホッグ(shh)、ヒトインディアンヘッジホッグ(ihh)又はヒトデザートヘッジホッグ(dhh))、他の任意のポリペプチドに結合しない。]
[0074] 「遮断」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害するか又は低減するものである。幾つかの実施態様では、遮蔽抗体又はアンタゴニスト抗体は、実質的又は完全に、抗原の生物学的活性を阻害する。本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、一度ヘッジホッグに結合し、ヘッジホッグのpatchedへの結合を阻害しないという意味で、遮断ではない。]
[0075] 「固相」とは、本発明の抗体がそれに付着することのできる非水性マトリクスを意味する。ここに意図する固相の例は、部分的又は全体的に、ガラス(例えば、孔制御ガラス)、多糖類(例えばアガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコール及びシリコーンから形成されたものを含む。特定の実施態様では、内容に応じて、固相はアッセイプレートのウェルを構成することができ;その他では精製カラム(例えばアフィニティクロマトグラフィーカラム)とすることもできる。また、この用語は、米国特許第4,275,149号に記載されたような、別個の粒子の不連続な固相も包含する。]
[0076] 「Fc領域」なる用語は、天然配列Fc領域及び変異形Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。本発明の抗体の使用のための適切な天然配列Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む。]
[0077] II.ヘッジホッグアンタゴニスト法
ヘッジホッグ発現は、ヘッジホッグアンタゴニストに応答するであろう癌を含む、複数の生理学的条件及び病状に関連するので、本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、そのような応答性癌を同定するためだけではなく、そのようなイベント及び疾患状態を検出するために有用である。]
[0078] A.血管新生
ヘッジホッグが血管新生を促進することが知られていることから、特に、血管新生に一定の強度のヘッジホッグシグナルが必要な場合には、ヘッジホッグ活性を阻害する抗ヘッジホッグ抗体が、血管形成を阻害することが期待される。血管新生は、多くの疾患の基礎となっている。持続的な、非制御下の血管新生により、種々の疾患状態、腫瘍の転移及び内皮細胞の異常増殖が引き起こされる。血管新生プロセスの結果作り出された脈管構造は、これらの疾患に見られる病理学的損傷の証拠となる。]
[0079] 血管新生と関連する疾患及び血管新生により生じる疾患には、以下が含まれる:腫瘍増殖、腫瘍転移又は内皮細胞の異常増殖、例えば、血管新生疾患、加齢黄斑変性症、糖尿病性網膜症、末熟児網膜症、角膜移植後拒絶反応、血管新生緑内障、水晶体後線維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過剰装着、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、乾燥性角結膜炎、シェーグレン症候群、酒さ性ざ瘡、フィルクテヌローシス(phylctenulosis)、梅毒、ミコバクテリア感染、脂質変性、化学薬品による火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス感染、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角質溶解(marginal keratolysis)、慢性関節リウマチ、全身性の狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、強膜炎、スティーヴェンズ−ジョンソン症候群、類天疱瘡、放射状角膜切開、角膜移植拒絶、慢性関節リウマチ、全身性の狼瘡、多発性動脈炎、外傷、ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、強膜炎、スティーヴンズ‐ジョンソン症候群、類天疱瘡、放射状角膜切開、角膜移植拒絶、慢性関節リウマチ、変形性関節症、慢性炎症(例えば、潰瘍性大腸炎又はクローン病)、血管腫、オスラー−ウェーバー・ランデュ病、及び遺伝性出血性毛細血管拡張。]
[0080] 血管新生は、癌において決定的な役割を果たす。栄養を供給して細胞排泄物を取り除く血液供給なくして、腫瘍は拡張することができない。血管新生が重要となる腫瘍には、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫、骨肉腫等の固形腫瘍、及び聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ及び化膿性肉芽腫等の良性腫瘍が含まれる。血管新生因子は、複数種の固形腫瘍と関連があることが判明しており、血管新生を防ぐことで、これらの腫瘍の増殖と腫瘍の存在に起因する動物への結果的な損傷をくい止め得る。血管新生は、白血病等の血液由来の腫瘍、及び、通常、貧血、血液凝固障害、並びにリンパ節、肝臓及び脾臓の腫脹を伴う、白血球の非抑制的増殖が起こっている骨髄の種々の急性又は慢性腫瘍疾患とも関連している。血管新生は、白血球様の腫瘍を生じる骨髄内での障害に関与していると考えられている。]
[0081] 腫瘍の増殖に加え、血管新生は、転移においても重要である。初期において、血管新生は、腫瘍の脈管化において重要であり、癌細胞が血流内へ侵入して全身を循環することを可能にする。腫瘍細胞が原発部位を離脱して、第2の転移部位に定着した後には、その新たな腫瘍が増殖して拡張する前に血管新生が起こる必要がある。従って、血管新生を妨げることにより、腫瘍の転移が予防され、恐らく、新生物の増殖を原発部位に抑制することが可能になる。]
[0082] 血管新生は、生殖や創傷治癒等の正常な生理学的プロセスにも関与している。血管新生は、排卵、並びに受精後の胞胚の着床において重要な工程である。血管新生の防止を利用することで、無月経を誘導し、排卵を遮断し、又は胞胚の着床を予防し得る。]
[0083] B.ヘッジホッグシグナルの過活性により生じる疾患
本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、ヘッジホッグ過剰発現を示す特定の組織及び/又は細胞の決定のために使用され得る。これは、ヘッジホッグシグナル経路によって活性化されるgli遺伝子の発現の測定によるような、他のヘッジホッグ経路活性化の測定と組み合わせることによって起き得る。gli−1、gli−2及びgli−3は、広範囲の組織及び疾患におけるヘッジホッグシグナルと最も一貫して関連しているが、一方で、gli−3は、比較的関連性が低い。gli遺伝子には、ヘッジホッグシグナル伝達の完全な効果を発揮するのに必要な数多くの遺伝子の発現を活性化させる転写因子がコードされている。しかしながら、Gli−3転写因子は、ヘッジホッグエフェクター遺伝子のレプレッサーとしても作用する場合があり、従って、gli−3の発現は、ヘッジホッグシグナル伝達の効果を減少させる可能性がある。gli−3が、翻訳後の現象に応じて転写アクチベーター又は転写リプレッサーのいずれかとして作用することから、Gli−3タンパク質の(抑制型に対する)活性化型の検出方法が、ヘッジホッグ経路活性の信頼性のある測定法となることが期待される。gli−1遺伝子は、種々の癌、過形成及び未熟児の肺で強く発現しており、ヘッジホッグ経路の相対的な活性化のマーカーとして機能する。更に、高いgli遺伝子発現を示す、未熟児の肺のような組織は、ヘッジホッグ阻害剤により強い影響を受ける。従って、gli遺伝子発現の検出が、ヘッジホッグアンタゴニストを用いた治療が特に有効な組織及び疾患を同定する強力な予測ツールとして使用可能であることが考えられる。]
[0084] gli−1の発現レベルは、転写物の直接的な検出又はタンパク質レベル若しくはタンパク質活性の検出のいずれかにより検出される。転写物については、主にgli−1転写物又はこれから合成されるcDNAに対するハイブリダイゼーション又はプローブに基づく種々の技術を用いて検出可能である。良く知られる技術には、転写物のレベルでは、ノーザンブロッティング、逆転写酵素PCR及びマイクロアレイ解析が含まれる。Gliタンパク質レベルでの検出法には、ウェスタンブロッティング、免疫沈降法、2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(2D SDS−PAGE‐Gliタンパク質の位置が決定できるよう、スタンダードと比較できることが好ましい)、及び質量分析法が含まれる。質量分析は、特定のサンプル中の多数の異なるタンパク質レベルのハイスループットな同定を可能にする、一連の精製工程が組み合されていてもよい。質量分析と2D SDS−PAGEを用いることで、タンパク質分解、ユビキチン結合、リン酸化、脂質修飾等を含むタンパク質に対する転写後修飾を同定することも可能である。基質DNAへの結合又はインビトロでの標的プロモーターの転写活性化を解析することでGli活性を評価し得る。ゲルシフトアッセイ、DNAフットプリンティングアッセイ及びDNA−タンパク質架橋アッセイの全ては、その使用により、DNA上のGli結合部位に結合可能なタンパク質の存在を評価できる方法である。J Mol.Med 77(6):459-68(1999);Cell 100(4):423-34(2000);Development 127(19):4923-4301(2000)。]
[0085] 特定の実施態様では、gli転写レベルを測定して、異常に高いgliレベルを示す疾患組織又は障害組織を抗ヘッジホッグ抗体で処置する。別の実施態様では、gli発現レベルの測定が、治療される組織において行われていない場合であっても、治療される症状が、異常なヘッジホッグ経路の活性化と有意な相関関係を示すことが知られている。未熟児の肺組織、肺癌(例えば、腺癌、気管支肺胞腺癌、小細胞癌)、乳癌(例えば、下部腺管癌、下部小葉癌、管状腺癌)、前立腺癌(例えば、腺癌)及び、良性の前立腺過形成の全ては、一定の事例において、強力で高いgli−1発現レベルを示す。従って、gli−1発現レベルは、これらのどの組織を抗ヘッジホッグ抗体で治療すべきかを決定するための強力な診断デバイスとなる。更に、尿路上皮細胞の癌(例えば、膀胱癌、他の尿生殖器の癌)も、一定の事例において高いgli−1レベルを示すことの確固たる関連証拠が存在する。例えば、染色体9q22におけるヘテロ接合の喪失が、膀胱癌に共通していることが知られている。Ptch−1遺伝子は、上記部位に位置しており、ptch−1の機能喪失は、恐らく、多くの他の多くの種類の癌においても、過剰増殖の部分的要因となっているであろう。従って、このようは癌は、高いgli発現を示し、ヘッジホッグアンタゴニストを用いた治療に特に適している。]
[0086] ptch−1とptch−2の発現も、ヘッジホッグシグナル伝達経路によって活性化されるが、典型的には、gli遺伝子と同程度に活性化される訳ではなく、結果的に、ヘッジホッグ経路活性化のマーカーとしてはgli遺伝子に劣ることになる。特定の組織では、ヘッジホッグ経路の活性が高くてもptch−1又はptch−2の片方のみが発現している。例えば、精巣の発達においては、desertヘッジホッグが重要な役割を果たし、ヘッジホッグ経路が活性されているが、ptch−2のみが発現している。従って、これらの遺伝子は、単独では、ヘッジホッグ経路活性のマーカーとして信頼性がないが、両方の遺伝子の同時測定は、ヘッジホッグアンタゴニストで治療すべき組織に関するより有用な指標になると考えられる。]
[0087] ヘッジホッグ活性化の間、gliが遍在的に発現されることから、あらゆるgli過剰発現の程度が、抗ヘッジホッグ抗体が有効な治療薬であることの決定において有用となるはずである。このような実施態様では、gliが、正常レベルより少なくとも2倍高いレベルで発現されるべきである。特定の実施態様では、発現は、正常レベルより4倍、6倍、8倍又は10倍高い。]
[0088] 脊椎動物の分化した組織の秩序だった空間配置の形成におけるヘッジホッグシグナル伝達の幅広い関与を考慮するに、本発明のヘッジホッグアンタゴニストは、インビトロ及びインビボの両方において異なる脊椎動物組織の配置を作り出すプロセス及び/又は維持するプロセスに用いてもよい。抗ヘッジホッグ抗体は、いつヘッジホッグアンタゴニストの適用が、考慮される組織型の増幅又は分化に関連し誘導的であれ、非誘導的であれ、適切な上記の任意の製剤であり得るかを決定するために使用し得る。]
[0089] C.神経細胞の培養
本発明のヘッジホッグ抗体は、更に、ヘッジホッグシグナルの低下が望まれる細胞培養技術に適用可能である。インビトロでの神経培養系は、神経発生の研究並びに、神経成長因子(NGF)、繊毛栄養因子(CNTF)及び脳由来神経栄養因子(BDNF)等の神経栄養因子の同定の基礎となる欠くことのできないツールであることが証明されている。本発明の方法の1の使用法は、例えば、新たな神経及びグリアを作り出すための培養の使用といった、神経幹細胞の培養であってもよい。培養物中の神経幹細胞の増殖速度を変化させたり、そして/又は分化速度を変化させたり、又は特定の最終分化した神経細胞の培養の完全性を維持するために、これらの培養物をヘッジホッグアンタゴニストと接触させ得る。例示的な実施態様では、対象方法を用いて特定の種類のニューロン(例えば、感覚ニューロン、運動ニューロン等)を培養し得る。このような神経培養物は、簡便なアッセイ系並びに治療用の移植可能細胞の供給源として用いてもよい。]
[0090] 本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、更に、中枢神経系の疾患の新たな治療法としての大脳内移植にも適用可能である。例えば、損傷を受けた脳組織を修復するための1つの方法では、動物胎児又は新生児由来細胞の、成体の脳への移植を伴う。Dunnett et al.,J.Exp.Biol.123:265-289(1987)。種々の脳領域に由来する胎児ニューロンの、成体の脳への組み込みを成功させることが可能であり、このような移植片は、行動障害を軽減し得る。例えば、基底核へのドーパミン投射の損傷により誘導される運動障害は、胚性ドーパミン産性ニューロンの移植により防ぎ得る。新皮質の損傷後に悪化する複雑な認知機能は、胚性皮質細胞の移植により、部分的に回復させ得る。対象の方法を用いることで、培養内の増殖状態を調節するか、又は胎児組織、特に神経幹細胞が用いられる場合には、その幹細胞の分化の速度を変化させ得る。]
[0091] 本発明に有用な幹細胞は、一般的に知られている。例えば、複数の神経堤細胞が同定されており、このうちの数種類は、多分化能を示し、恐らく特定の系統に入っていない神経堤細胞を代表するものと考えられ、残りの種類は、感覚ニューロン等、唯1種類の細胞のみを生み出すことが可能であり、恐らく特定の系統に入った前駆細胞を代表するものと考えられる。本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、特定の系統に入っていない前駆細胞の分化を調節すること、又は特定の系統に入った前駆細胞の発生学的運命の更なる限定を調節すること、又は特定の系統に入った前駆細胞の発生学的運命の更なる限定を、最終分化したニューロン細胞になるように調節することのために、培養幹細胞に適用されるヘッジホッグアンタゴニストの効果を調節し得る。例えば、本発明の方法をインビトロで用いて、神経堤細胞からグリア細胞、シュワン細胞、クロム親和細胞、コリン作動性ニューロン、交感ニューロン又は副交感ニューロン、並びにペプチド作動性ニューロン及びセロトニン作動性ニューロンへの分化を調節し得る。ヘッジホッグアンタゴニストは、単独、又は神経前駆細胞の特定の分化の運命をより重点的に促進するように作用する他の神経栄養因子との組合せで用いてもよい。]
[0092] D.神経の増殖と分化の調節
本発明の抗ヘッジホッグ抗体を細胞培養物の移植と組み合わせて使用することに加え、本発明の別の態様は、中枢神経系と末梢神経系の両方のニューロン及び他の神経細胞の増殖状態を調節するためのヘッジホッグアンタゴニストの治療用途に関する。ヘッジホッグ経路の構成成分(例えば、ptch、ヘッジホッグ、及びsmoothened)が、神経系の発生過程及び恐らく成体の状態においても神経分化を調節しる能力は、特定の場合において、対象のヘッジホッグアンタゴニストが、正常細胞の維持、機能の発揮、及び老化に関する成体ニューロンの調節;化学的又は機械的な損傷を受けた細胞の修復と再生工程;並びに特定の病理学的状態における神経変性の治療を容易化することが期待され得る。上記の見解に照らし、本発明では、特に、以下によって生じる神経学的状態の治療(例えば、予防、症状の軽減等)への対象方法の応用が意図されている:(i)外傷、化学的損傷、血管の創傷及び血管(脳卒中により生じる虚血等)、並びに感染性/炎症性損傷及び腫瘍誘導性の損傷;(ii)パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症等の神経系の老化、並びに脊髄小脳変性症;並びに(iv)多発性硬化症を含む、神経系の、又は神経系を患う慢性の免疫疾患。]
[0093] 適切な場合には、対象の方法を、中枢神経及び末梢神経の損傷の修復のための神経プロテーゼの製造に用いてもよい。特に、つぶれた又は切断された軸索が、プロテーゼ装置の使用により管状となっていない場合、そのプロテーゼ装置にヘッジホッグアンタゴニストを添加して樹状突起の増殖速度と再生を調節し得る。代表的な神経誘導チャネルが、米国特許第5,092,871号及び同第4,955,892号に記載されている。]
[0094] 別の実施態様では、中枢神経系で起こるであろう、新生物又は過形成の変態の治療に対象方法を用いてもよい。例えば、ヘッジホッグアンタゴニストを利用して、このような変態した細胞に分裂終了又はアポトーシスを生じ得る。従って、本発明の方法は、例えば、悪性の神経膠腫、髄膜腫、髄芽腫、神経外胚葉性腫瘍及び上衣細胞腫の治療の一部として用いてもよい。]
[0095] E.神経癌
ヘッジホッグ抗体は、悪性の髄芽腫及び他の原発性のCNSの悪性の神経外胚葉性腫瘍の治療計画の一環として用いてもよい。原発性脳腫瘍である髄芽腫は、子供に最も高頻度に発症する脳腫瘍である。髄芽腫は、後頭蓋窩に生じる原発性の神経外胚葉性腫瘍(PNET)である。髄芽腫は、全ての小児脳腫瘍の約25%を占める。組織学的には、これらは、通常、真性ロゼット様に配置される小円形細胞の腫瘍であり、星状細胞、上衣細胞又はニューロンへの一定の分化を示す場合がある。PNETは、松果体(松果体芽細胞腫)及び大脳を含む、脳の他の領域に生じる可能性がある。テント上の領域に生じたPNETは、一般的に、他の領域の生じたPNETと比べて悪い予後を示す。]
[0096] 髄芽腫/PNETは、切除後において、CNSのあらゆる場所で再発することが知られており、骨に転移する場合もある。従って、治療前評価には、「下がった転移」の可能性を排除するため、脊髄を検査することも含まれる。この目的のため、ミエログラフィーがガドリニウム増幅性MRIに大きく取って代わられ、ルーチンなプロセスとして、手術後にCSFサイトロジーが得られる。本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、ヘッジホッグアンタゴニストの効果を決定するための治療計画の一部として、原発、及び/又は転移腫瘍におけるヘッジホッグの発現レベルを検出するために使用し得る。]
[0097] 別の実施態様では、対象の方法は、上衣細胞腫の治療プログラムの一環として用いられる。上衣細胞腫は、子供の小児脳腫瘍の約10%を占める。巨視的には、これらは、脳室の上衣層から生じる腫瘍であり、微視的には、ロゼット、環状構造及び脈管周囲ロゼットを形成している。上衣細胞腫を患う51人の子供のCHOPシリーズにおいて、3/4が組織学的に良性であった。約3分の2が、第4心室の領域から生じていた。3分の1が、テント上の領域に発症していた。SEERデータ並びにCHOPから得たデータが示すように、発症のピークは、誕生から4歳の間である。年齢の中央値は、約5歳である。この疾患を患う子供の多くが、赤子であるため、多くの場合、集学的治療を必要とする。]
[0098] F.非神経細胞の培養
抗ヘッジホッグ抗体は、非神経組織の製造及び維持に関する細胞培養並びに治療法で用いてもよい。このような使用は、別の脊椎動物の器官発生経路、例えば、内皮のパターン形成及び、中胚葉及び内胚葉の分化の形態形成シグナルにおけるヘッジホッグシグナル構成要素(例えば、ptch、ヘッジホッグ、smo等)の関与の結果意図されるものである。]
[0099] ヘッジホッグシグナル、特に、ptc、ヘッジホッグ及びsmoothenedは、消化管、肝臓、肺及び他の原始腸管由来の器官の形成に関与する幹細胞の発生の調節に関わっている。Shhは、内胚葉から中胚葉への誘導性シグナルであり、腸管の形態形成に決定的に重要である。従って、例えば、本発明の方法の抗ヘッジホッグ抗体は、正常細胞の複数の分泌機能を示すことが可能な人工肝臓の発生及び維持の調節に用いてもよい。例示的な実施態様では、対象方法を用いて、正常肝臓の機能を調節し得る。例えば、対象方法を用いて、消化管の幹細胞の増殖と分化を制御して、細胞外マトリックスの構成に使用可能な、又は生体適合性ポリマー内に封入可能な肝細胞培養物を形成し、移植可能な人工肝臓と体外人工肝臓の両方を形成し得る。]
[0100] 別の実施態様では、対象方法を治療に使用して、物理的、化学的又は病理学的な障害を受けたこのような器官を調節し得る。例えば、ヘッジホッグアンタゴニストを含む治療法を、部分的な肝臓摘出の後の肝修復に使用し得る。]
[0101] 別の実施態様では、対象方法を用いて、インビボ及びインビトロの両方において膵臓組織の増殖及び/又は分化を制御又は調節し得る。胚性腸管からの膵臓と小腸の発生は、腸管の内胚葉細胞と中胚葉細胞間の細胞間シグナルに依存する。特に、腸の中胚葉から平滑筋への分化は、隣接する内胚葉細胞からのシグナルに依存することが示唆されている。胚性後腸内の内胚葉からのシグナルの1つの媒体候補は、ソニックヘッジホッグ(Shh)である。Apelqvist等,Curr.Biol.7:801-4(1997)。Shh遺伝子は、膵芽の内胚葉を除く胚芽の内胚葉の至るところで発現しており、膵芽の内胚葉では、代わりに膵臓発生初期の必須の調節因子であるホメオドメインタンパク質Ipf1/Pdx1(インシュリンプロモーター因子1/膵臓十二指腸ホメオボックス1)が高レベルで発現している。Ipf1/Pdx1を用いて、発生過程にある膵臓上皮内で選択的にShhを発現させている。Ipf1/Pdx1−Shhトランスジェニックマウスの膵臓中胚葉は、平滑筋とカハル(膵臓の間葉や脾臓よりもむしろ腸に特徴的な細胞)の間質細胞へ発達した。Apelqvist等、上記。更に、Shhに曝露した膵臓の体外移植組織は、内皮由来のShhコントロールと同様の発現を示し、腸管の異なる領域において隣接する中胚葉の運命を経た。]
[0102] 別の実施態様では、抗ヘッジホッグ抗体を用いて、間葉系細胞及び中葉系組織由来の肝細胞を含む、非内胚葉系幹細胞由来の内胚葉組織の発生を変化させる。幹細胞を単離可能な代表的な中胚葉系組織には、骨格筋、心筋、腎臓、軟骨及び脂肪が含まれる。]
[0103] G.膵臓の状態/疾患
本発明の抗ヘッジホッグ抗体が、ヘッジホッグアンタゴニストと組み合わせて使用される場合、治療上の利点を提供し得る、種々の病理学的な細胞増殖及び分化に関する膵臓状態が存在する。より具体的には、このような治療上の利点は、異常なインシュリン発現の修正、又は膵臓細胞の分化の変更に関する。しかしながら、より一般的には、本発明は、膵臓細胞を対象ヘッジホッグアンタゴニストと接触させることによる、膵臓細胞の分化状態の促進及び/又は維持、生存率の向上及び/又は増殖に対する作用の方法に関する。例えば、本発明では、膵臓組織の秩序だった空間配置の形成におけるptc、ヘッジホッグ及びsmoothenedの明らかな関与に鑑み、対象方法が、インビトロ及びインビボの両方で、このような組織を作り出し、そして/又は維持する技術の一部として用いられることを意図している。例えば、ヘッジホッグシグナル伝達の調節は、β膵島細胞の発生及び維持、及び、恐らく消化管、脾臓、肺、尿生殖器官(例えば膀胱)、並びに原子腸管由来の他の器官等の非膵臓組織からのβ膵島細胞の発生及び維持も含む細胞培養と治療方法の両方に用いてもよい。]
[0104] 特定の実施態様では、本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、膵臓組織を患う過形成及び新生物疾患、特に、膵臓細胞の異常増殖を特徴とする過形成及び新生物疾患の治療に用いてもよい。例えば、膵臓癌は、膵臓細胞の異常増殖を特徴としており、膵臓のインシュリン分泌能に変化をきたす可能性がある。例えば、膵臓癌等の、特定の膵臓の過形成は、β細胞の機能不全又は膵島細胞の量の減少に起因する低インスリン血症を生じさせる可能性がある。更にまた、異なる時点におけるヘッジホッグシグナル伝達特性の操作は、インビボ及びインビトロの両方で脾臓組織を再構築/修復するための戦略の一環として有用であろう。一実施態様では、本発明は、膵臓組織の発生を制御するptc、ヘッジホッグ及びsmoothenedの明確な関与を利用する。別の実施態様では、対象の抗ヘッジホッグ抗体を治療に用いて、物理的、化学的又は病理学的傷害後に膵臓を制御し得る。更に別の実施態様では、対象方法を細胞培養技術に応用することが可能であり、特に、対象方法を用いて、プロテーゼの膵臓組織装置の最初の統合を促進し得る。例えば、ヘッジホッグアンタゴニストの使用等により、膵臓組織の増殖と分化を操作することにより、培養組織の特徴をより慎重に制御するための手段を提供し得る。代表的な実施態様では、対象方法を用いて、例えば、米国特許第4,892,538号、同第5,106,627号、同第4,391,909号及び同第4353,888号に記載されるような封入装置に使用可能な、β膵島細胞を要するプロテーゼ装置の生産を増大させることも可能である。膵島の初期前駆細胞は、多能性であり、これらが現れた時点から明確に全ての膵島特異的遺伝子を共活性化させる。発生がすすむにつれて、インシュリン等の膵島特異的ホルモンの発現が、成熟した膵島細胞に特徴的な発現パターへと制限されていく。しかしながら、成熟膵島細胞の表現型は、培養において不安定であり、成熟したβ細胞においても胚の特徴が再出現することが観察される場合もある。対象の抗ヘッジホッグ抗体を用いることにより、細胞の分化経路又は増殖指標を制御し得る。]
[0105] 更にまた、膵臓組織の異なる段階における操作は、人工膵臓の移植と併せて用いてもよい。例えば、組織分化に影響を及ぼすヘッジホッグ機能の操作は、移植片の生存能を維持するための手段として用いてもよい。]
[0106] H.細胞増殖性疾患、腫瘍及び癌
本発明の抗ヘッジホッグ抗体を用いて、肺癌及び肺腺癌、並びに肺上皮に関する他の増殖性疾患を治療し得る。ヒトの肺扁平上皮癌細胞と腺癌細胞内でShhが発現されていることが知られている。Fujita et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.238:658(1997)。Shhの発現は、ヒトの胚扁平上皮がん組織においても検出されているが、同じ患者の正常な肺組織内では検出されていない。また、Shhが癌細胞へのBrdUの取り込みを促進して、その細胞増殖を促進する一方で、抗Shh−Hがそのような増殖を阻害したことが観察された。これらの結果から、ptc、ヘッジホッグ、及び/又はsmoothenedが、このように編成した肺組織の細胞増殖に関与することが示されており、従って、ヘッジホッグアンタゴニストを用いることで、肺癌及び肺腺癌、並びに肺上皮に関する他の増殖性疾患を治療し得ることが示されている。]
[0107] 本発明の抗ヘッジホッグ抗体、ヘッジホッグアンタゴニストは、ヘッジホッグシグナルが腫瘍の存在又は病因と関連する腫瘍を同定するためにまた使用されてもよく、従って、ヘッジホッグアンタゴニストの適用に応答するであろう。このような腫瘍には、これらに限定される訳ではないが、以下が含まれる:ゴーリン症候群関連腫瘍(例えば、髄芽腫、髄膜腫等)、ptcノックアウトマウスに明らかな腫瘍(例えば、血管腫、横紋筋肉腫等)、gli−1増幅により生じる腫瘍(例えば、グリア芽細胞腫、肉腫等)、Smo機能不全により生じる腫瘍(例えば、基底細胞癌等)、ptcホモログのTRC8と関連する腫瘍(例えば、腎癌、甲状腺癌等)、Ext−1関連腫瘍(例えば、骨肉腫等)、Shh誘導性腫瘍(例えば、肺癌、軟骨肉腫等)、並びに、その他の腫瘍(例えば、乳癌、尿生殖器の癌(例えば、腎臓、膀胱、尿管、前立腺等)、副腎癌、胃腸の癌(例えば、胃、腸等)。]
[0108] 本発明の抗ヘッジホッグ抗体を用いて、ヘッジホッグアンタゴニストの適用に応答するであろう、癌を同定し得る。このような癌には、これらに限定される訳ではないが、以下が含まれる:前立腺癌、膀胱癌、胆道癌、肺癌(小細胞癌と非小細胞癌を含む)、大腸癌、腎臓癌、肝臓癌、乳癌、卵巣頸癌、卵巣内膜癌又は他の卵巣癌、卵巣癌、精巣癌、陰茎の癌、膣癌、尿道の癌、胆嚢癌、食道癌、又は膵臓癌。更なる癌の種類には、骨格筋又は平滑筋の癌、胃癌、小腸の癌、唾液腺の癌、肛門の癌、直腸癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、下垂体癌、及び鼻咽腔癌が含まれる。本発明のヘッジホッグアンタゴニストで治療可能な例示的な更なる癌の形態には、ヘッジホッグ発現細胞を含む癌が包含される。本発明のヘッジホッグアンタゴニストで治療可能な更なる代表的な癌の形態には、gli発現細胞を含む癌が包含される。一実施態様において、癌は、patched−1の変異によって特徴付けられることはない。]
[0109] I.上皮組織
本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、上皮組織を侵す疾患の治療(予防を含む)にも用いることができる。一般的に、このような治療には、治療する上皮組織の増殖状態を変化させるのに効果的な量のヘッジホッグアンタゴニストを投与することが含まれる。投与方法と投与計画は、治療すべき上皮細胞(例えば、皮膚、粘膜、腺等)に応じて変更されることになる。具体的な態様では、この方法を用いて、上皮由来組織のShh誘導性分化の誘導を制御し、そして/又は増殖を阻害することができる。従って、本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、上皮組織に関する過形成及び/又は新生物状態の治療方法に用いることができる。]
[0110] (1)発毛
本発明の抗ヘッジホッグ抗体を用いて発毛を調節することも可能である。毛は、主として、頑強で不溶性のタンパク質であるケラチンから構成されている。個々の毛は円柱状の長幹と毛根を含み、皮膚のフラスコ状の凹みである小胞に含まれている。小胞の底部には、乳頭と呼ばれる指状の突起物が含まれ、乳頭は、そこから毛が成長する結合組織から成り、この結合組織を通じて血管から細胞に栄養が供給される。長幹は、皮膚表面から外に向かって伸びる部分であり、毛根は、既に記載したように、毛の埋め込まれる部分である。毛根の基底部は、乳頭上に存在する毛球へと広がる。毛が作られる細胞は、小胞の毛球内で増殖する;これらは、細胞が小胞内で増殖するにつれて、繊維の形態で押し出される。毛の「成長」とは、分裂細胞による毛の繊維の形成と伸長を指す。]
[0111] 当該技術分野においてよく知られるように、通常の毛の周期は、3段階に分けられる:成長期、退行期及び休止期である。活性期(成長期)には、真皮乳頭の表皮幹細胞の分裂が早い。娘細胞は上に向かって移動し、分化して、その毛の同心円層を形成する。移行期の退行期は、小胞内の幹細胞の有糸分裂の休止を特徴とする。休止段階は、休止期として知られており、毛は、頭皮の下で成長する新たに出現する毛が、小胞から休止期の長幹を押し出すまで、数週間も頭皮内に留まっている。上記のモデルから、毛細胞に分化する分裂幹細胞のプールが大きい程、より発毛が生じることが明らかとなった。従って、これらの幹細胞の増殖を増強又は阻害することにより、それぞれ発毛を増加又は低下させる方法を実施することができる。]
[0112] 抗ヘッジホッグ抗体は、切るか、剃るか、又は脱毛による除去に代わり、又はこれらとの組合せで、ヒトの毛の増殖を低下させる方法に用いることができる。例えば、本発明の方法は、多毛症等の、異常に迅速又は重度の発毛を特徴とする毛髪病の治療に用いることができる。例示的な実施態様では、ヘッジホッグアンタゴニストを用いて、異常な毛深さを特徴とする障害である男性型多毛症を管理することができる。また、対象の方法は、脱毛効果の期間を延長する方法も提供することができる。]
[0113] 更にまた、ヘッジホッグアンタゴニストは多くの場合上皮細胞に対して、細胞毒性というよりはむしろ細胞増殖抑制性であるため、このような薬剤を用いて、例えば、放射線誘導性の死といった効力のために細胞周期のS期への細胞進行を要する細胞毒性薬剤から毛包細胞を保護することができる。ヘッジホッグアンタゴニストで処理することで、例えば、細胞のS期への進入を防ぐことにより、毛包細胞を静止状態にさせ、それによって、毛包細胞の有糸分裂のカタストロフィー又はプログラム化された細胞死を防ぐことによる保護が提供される。例えば、既に毛髪を喪失した、化学療法又は放射線療法を受けている患者に、ヘッジホッグアンタゴニストを用いることもできる。このような治療中の細胞周期の進行を阻害することにより、対象治療は、一方で、静止状態の不存在による細胞死プログラムの活性化を生じる可能性のある、死から毛包細胞を保護することができる。抗ヘッジホッグ抗体の治療が完了した後には、本発明の方法を取り除き、それに付随して毛包細胞増殖の阻害を解くこともできる。本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、ヘッジホッグシグナルが活性であるような組織を同定するために使用でき、従って、ヘッジホッグアンタゴニストの適用から恩恵を受ける。]
[0114] 本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、脱毛性毛包炎、網状痕跡性紅斑性毛嚢包炎又はケロイド性毛包炎等の毛包炎の治療に用いることができる。例えば、抗ヘッジホッグ抗体の美容用製剤を偽性毛嚢炎(髭剃りに伴って、首の顎下領域に最もよく発生する慢性疾患であり、紅斑様の丘疹と包埋された毛を含む膿疱から成る病変を特徴とする)の治療において局所的に適用することもできる。]
[0115] 本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、ヒトの毛髪の成長の調節方法に用いることができる。Sato et al,J.Clin.Invest.104:855-864(1999)では、新生児の皮膚内でのShh活性の上方制御は、静止中の毛包を成長期に進入させ、続いて発毛を生じさせるように誘導する生物スイッチとして機能することが報告されている。Satoらは、アデノウイルスベクターAdShhを用いて、マウスShhcDNAを生後19日目のC57BL/6マウスの皮膚に導入している。処理した皮膚では、Shh、Patched及びGli−1のmRNA発現の増加が示された。AdShhを受容したマウスでは、毛包のサイズとメラニン形成が増加し、毛髪特異的なケラチンghHb−1とメラニン合成関連チロシナーゼのmRNAが蓄積していたことから、成長期への加速が確認された(コントロールでは確認されなかった)。最後に、C57BL/6マウスは、AdShhを皮膚に投与した領域において、処置から数週間後に、新たな育毛発生の顕著な促進を示したが、コントロールベクターで処理した領域又は非処理領域では示さなかった。6月後、AdShh処置した皮膚は、正常な毛と正常な皮膚の形態を示した。従って、本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、Shh誘導性の発毛の制御又は調節に有用であろう。]
[0116] (2)過剰な上皮増殖
本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、過形成状態(例えば、角化症)及び高い増殖速度を特徴とする表皮の腫瘍状態(例えば、扁平細胞癌)の治療方法に用いることができる。また、対象方法は、皮膚を患う自己免疫疾患の治療、特に、乾癬又はアトピー性皮膚炎等の、表皮の病的な増殖及び/又は角質化を伴う皮膚病の治療にも用いることができる。局所的な皮膚の異常増殖を特徴とする通常の皮膚病(例えば、乾癬、扁平細胞癌、光線性角化症等)も、本発明の抗ヘッジホッグ抗体の適用により治療できることが期待される。]
[0117] 角化性病変を特徴とする他の種々の疾患も、本発明の抗ヘッジホッグ抗体を用いた治療の候補である。例えば、光線性角化症は、太陽光に曝されて、照射された皮膚上に生じる、表層の炎症性の前悪性腫瘍である。現行の治療には、切除と冷凍外科手術が含まれる。これらの治療は、苦痛を伴うが、美容上許容不可能な瘢痕を作り出す場合がある。従って、光線性角化症等の角化症の治療には、損傷部位の表皮細胞/類表皮細胞の過剰増殖を阻害するのに十分な量のヘッジホッグアンタゴニスト組成物を適用することが含まれる。]
[0118] (3)アクネ
アクネは、本発明の抗ヘッジホッグ抗体により治療可能な更なる別の皮膚病を代表する。10代及び若い成人に最も頻繁に生じる多因性疾患である尋常性ざ瘡は、顔及び体幹上半部の炎症性損傷及び非炎症性損傷の出現を特徴とする。尋常性ざ瘡に生じる基本的な欠陥は、過活性な皮脂腺の管の角質化過剰である。角質化過剰により、皮膚と小胞の微生物の正常な移動がブロックされ、その際に細菌のPropinobacterium acnes及びStaphylococcus epidermidis、並びに酵母のPitrosporum ovaleによるリパーゼの放出が促進される。本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、ヘッジホッグアンタゴニストを用いた治療が有効であろう患者又は組織の同定のために使用し得る。特に局所用製剤を用いた治療は、例えば、角質化過剰等、損傷を形成するに至る管の移行特徴を防ぐためにも有用であろう。このようなヘッジホッグアンタゴニストを含む治療計画には、更に、抗生物質、レチノイド及び抗男性ホルモン等が含まれていてもよい。]
[0119] (4)皮膚炎及び他の皮膚病
本発明の抗ヘッジホッグ抗体は、種々の形態の皮膚炎の治療方法に用いることもできる。皮膚炎は、そう痒性、紅斑性、落屑性で、疱疹を伴い、湿潤性で、亀裂を有するか又は表面が硬い、境界があいまいな損傷を指す記述的用語である。これらの損傷は、広範囲な種々の要因のいずれによっても生じる。最も一般的な種類の皮膚炎は、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎及びおむつ皮膚炎である。例えば、脂漏性皮膚炎は、慢性の、通常そう痒性の皮膚炎であり、種々の領域、特に過剰量の乾燥板状鱗屑の落屑を伴う頭皮に、紅斑性、乾燥、湿潤、又は油脂性の板状鱗屑と黄色く表面が硬いパッチを伴う。対象方法の抗ヘッジホッグ抗体は、多くの場合慢性であり、通常は湿疹様の皮膚炎である、うっ血性皮膚炎の治療にも用いることができる。光線性皮膚炎は、例えば太陽光線、紫外線、又はX線若しくはγ腺照射等の光線照射への曝露に起因する皮膚炎である。本発明によれば、対象の方法を、上皮細胞の望ましくない増殖によって生じた皮膚炎の特定の症状の治療及び/又は予防に用いることができる。これら種々の形態の皮膚炎の治療には、局所的及び全身性のコルチコステロイド、止痒剤及び抗生物質が含まれる。]
[0120] 対象方法により治療可能な更なる疾患は、ダニ症等、人間以外に特異的な疾患である。]
[0121] J.非標準的なヘッジホッグシグナル
本発明の抗ヘッジホッグ抗体を用いて、Patched−Smoothenedレセプター複合体及びGli転写因子から独立した非標準的なShh経路の活性を調節することができる。最近の報告、Jarov et al.,Dev.Biol.261(2):520-536(2003)には、Shhを基質(細胞外マトリックス)に固定するか又はトランスフェクション後に神経上皮細胞により生産された場合、神経板体外移植組織は、分散できず、代わりに小型構造体を形成したことが記載されている。Shhにより生じる神経上皮細胞の接着能力の変化は、表面のβ1−インテグリンの不活性化とN−角へリン媒介性細胞接着の増加の組み合わせによるものと考えられる。固定化されたShhは、可溶性のShhと同じ強さで、神経上皮細胞の運動ニューロン及び底板細胞への分化を促進したことから、このような固定Shh媒介性の接着は、既知の(可溶性の)Shh媒介性の誘導機能、有し分裂促進機能、及び栄養機能に抵触又は干渉することはない。神経管の形態発生における接着特性のShhによる調節は、迅速で可逆性であり、古典的なPatched−Smoothened−Gliシグナル伝達を伴うことなく、Shh媒介性の細胞分化から独立しており、識別可能であることが証明されている。Shhに誘導される神経上皮細胞の接着特性の変更は、その分化促進作用に起因すると考えることはできないが、今まで説明されていなかった、この組織内でのShhの新たな機能が解明されたことになる。従って、本発明の抗ヘッジホッグ抗体を用いて、Ptch、Smo、Fu、Su(Fu)及び/又はGliから独立した非標準的なヘッジホッグ経路を制御することができる。より具体的には、このような抗ヘッジホッグ抗体を、好ましくは特定の発生段階において、神経組織又は他の適用可能な組織内での上記機能を混乱させる方法に用いることができる。]
[0122] III.組成物及び方法
A.抗ヘッジホッグ抗体
このような目的のために使用される例示的な抗体は、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む。「抗体」なる用語は、また、抗原結合断片を含むこともある。]
[0123] 1.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射することにより、動物に産生される。それは、免疫化されるべき種において免疫原性であるタンパク質へ、関連する抗原(特に、合成ペプチドが用いられる場合)を結合させるために有用である。例えば、この抗原を、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターへ、二重官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する抱合)、グルタルアルデヒド、及び無水コハク酸、SOCl2、又はR及びR1が異なるアルキル基であるR1N=C=NRを用いて結合させることができる。]
[0124] 動物を、例えばタンパク質又はコンジュゲート100μg又は5μg(それぞれウサギ又はマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と併せ、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して免疫化する。1ヶ月後、該動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1/10のペプチド又はコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することにより、追加免疫する。7ないし14日後に動物を採血し、抗体価について血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。コンジュゲートはまたタンパク融合として組換え細胞培養中で調製することもできる。また、ミョウバンのような凝集化剤が、免疫反応の増強のために好適に使用される。]
[0125] 2.モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作製することができる。]
[0126] ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記のように免疫し、免疫化に用いられたタンパク質と特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いてミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。]
[0127] このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親ミエローマ細胞の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親のミエローマ細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT−欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含むであろう(HAT培地)。]
[0128] 好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性であるものである。これらの中でも、好ましいミエローマ細胞株は、マウスミエローマ株、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センター、サンディエゴ、カリフォルニア、USAより入手し得るMOPC−21及びMPC−11マウス腫瘍、及び例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックヴィル、メリーランド、USAより入手し得るSP−2又はX63−Ag8−653細胞由来のものである。ヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株もまたヒトモノクローナル抗体の産生のために開示されている(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁、(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。]
[0129] ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の生産についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって生産されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって又はインビトロ結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によって決定される。]
[0130] 3.抗体断片
特定の状況において、抗体断片の使用は、全体の抗体より利点がある。]
[0131] 抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、完全な抗体のタンパク分解性消化を介して誘導されていた(例えば、Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、Fab、Fv及びScFv抗体断片はすべて、大腸菌で発現され、分泌されるため、この断片の大規模産生が容易となる。抗体断片は上述において検討した抗体ファージライブラリーから分離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。サルベージレセプター結合エピトープ残基を含有する、インビボ半減期が増加したFab及びF(ab')2断片は米国特許第5869046号に記載される。抗体断片の生産のための他の方法は当業者には明らかであろう。他の実施態様では、選択抗体は単鎖Fv断片(scFV)である。国際公開93/16185;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587458号を参照のこと。Fv及びsFvは、定常領域が欠けている完全な結合部を有する唯一の種である;したがって、それらは、インビボでの使用の間の非特異的結合を減らすために適する。sFv融合タンパク質は、sFvのアミノ末端又はカルボキシ末端の何れかで、エフェクタータンパク質の融合物を得るために構築されうる。上掲のAntibody Engineering, ed. Borrebaeckを参照。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。このような直線状の断片は単特異的又は二重特異的であってもよい。]
[0132] B.抗ヘッジホッグ抗体
ここに記載した抗ヘッジホッグ抗体に加えて、本発明で使用するために、このような分子の変異体を調製し得ると考えられる。このような変異体は、コード化DNAに適当なヌクレオチド変化を導入することによって、及び/又は所望の抗体又はポリペプチドを合成することによって調製できる。当業者は、アミノ酸変化が、ヘッジホッグ結合能を高めるために、グリコシル化部位の数又は位置の変化あるいは膜固着特性の変化などのこれらの分子の翻訳後プロセスを変え得るのを理解するであろう。アミノ酸配列の変異は、例えば、米国特許第5364934号に示す保存的及び非保存的変異に関する技術及び指針のいずれかを用いて作成することができる。変異は、結果として天然配列と比較してアミノ酸配列の変化を生じる、アミノ酸配列をコードする一又は複数のコドンの置換、欠失又は挿入であってもよい。場合によっては、変異は、関心のあるポリペプチドの一つ又は複数のドメインにおける、少なくとも一つのアミノ酸の他の任意のアミノ酸との置換による。どのアミノ酸残基が所望の活性に悪影響を与えることなく挿入、置換又は欠失され得るかを確かめる指針は、関心のあるアミノ酸配列の配列を既知の相同タンパク質分子の配列と比較し、相同性の高い領域内で生じたアミノ酸配列変化の数を最小にすることによって見出される。アミノ酸置換は、一のアミノ酸を類似した構造及び/又は化学特性を持つ他のアミノ酸で置換すること、例えばロイシンのセリンでの置換、即ち保存的アミノ酸置換の結果であるとすることができる。挿入及び欠失は、場合によっては1から5のアミノ酸の範囲内であり得る。許容され得る変異は、配列にアミノ酸の挿入、欠失又は置換を系統的に作成し、生じた変異体を完全長又は成熟天然配列によって示される活性に関して試験することによって確かめられる。]
[0133] 種々の抗ヘッジホッグ抗体がここで提供されている。このような断片は、例えば完全長天然抗体又はタンパク質と比較した時に、N末端又はC末端で切断しているか、又は内部残基を欠いている可能性がある。このような、所望の生物学的活性に必須ではない、アミノ酸残基を欠く断片は、また開示の方法に有用である。]
[0134] 上のポリペプチド断片は、多くの従来技術のいずれかによって調製してもよい。所望のペプチド断片は化学合成してもよい。代替的方法には、酵素的消化、例えば特定のアミノ酸残基で確定した部位でタンパク質を切断することが知られた酵素によってタンパク質を処理することで、又は適当な制限酵素でDNAを消化して所望の断片を単離することによって抗体又はポリペプチド断片を生成することが含まれる。さらにその他の好適な技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって、所望の抗体又はポリペプチド断片をコードするDNA断片を単離し増幅することが含まれる。DNA断片の所望の末端を確定するオリゴヌクレオチドは、PCRの5’及び3’プライマーで用いられる。好ましくは、このような断片は、対応する全長分子と少なくとも1つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。]
[0135] 特定の実施態様では、対象とする保存的置換を、好ましい置換の項目で表1に示す。このような置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表1に例示的置換と名前を付けた又は以下にアミノ酸分類でさらに記載するように、より実質的な変化が導入され生成物がスクリーニングされる。]
[0136] 表1]
[0137] 抗ヘッジホッグ変異体の機能又は免疫学的同一性の実質的修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の電荷又は分子疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において有意に異なる置換基を選択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性の親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro; 及び
(6)芳香族:trp、tyr、phe。]
[0138] 非保存的置換は、これらの分類の1つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。また、そのように置換された残基は、保存的置換部位、又はより好ましくは、残された(非保存)部位に導入されうる。]
[0139] 変異は、オリゴヌクレオチド媒介(部位特異的)変異、アラニンスキャンニング、及びPCR変異などの、この分野で知られた方法を用いて行うことができる。部位特異的変異[Carter等, Nucl. AcidsRes., 13:4331 (1986); Zoller等, Nucl. Acids Res., 10:6487 (1987)]、カセット変異[Wells等, Gene, 34:315 (1985)]、制限選択変異[Wells等, Philos. Trans.R. Soc. London SerA, 317:415 (1986)]又は他の周知の技術などをクローニングされたDNAに対して行って抗ヘッジホッグ抗体分子を生産することができる。]
[0140] また、隣接する配列に沿って1つ又は複数のアミノ酸を同定するのに、スキャニングアミノ酸分析も用いることができる。好ましいスキャニングアミノ酸は、比較的小さい中性のアミノ酸である。このようなアミノ酸は、アラニン、グリシン、セリン、及びシステインを含む。アラニンは、ベータ炭素を越える側鎖を排除し、変異体の主鎖高次構造を変える可能性が低いので、これらの群の中の典型的に好適なスキャンニングアミノ酸である[CunninghamおよびWells, Science, 244:1081-1085(1989)]。また、アラニンは、最も普通のアミノ酸であるので典型的に好ましい。さらに、隠れた及び露出した位置の両方で頻繁に見いだされる[Creighton, The Proteins, (W.H. Freeman & Co., N.Y.); Chothia, J. Mol. Biol., 150:1 (1976)]。アラニン置換が適当な量の変異を生じない場合、アイソテリック(isoteric)なアミノ酸を用いることができる。]
[0141] また、抗ヘッジホッグ抗体変異体の適当な構造を維持するのに関与しない任意のシステイン残基は、通常、セリンで置換することで、分子の酸化的安定性を向上させ、異常な架橋を防ぐことができる。逆に、システイン結合をこのような分子に付加することにより、その安定性を向上させることができる(特に抗体がFv断片のような抗体断片の場合)。]
[0142] 特に好ましい型の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の一又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的に、更なる開発のために得られた変異体は、それらが生成された親抗体と比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を生成する簡便な方法には、ファージディスプレイを使用する親和性成熟がふくまれる。簡潔に言えば、高頻度可変領域部位(例えば、6-7部位)を変異させて各部位における全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このように生成された抗体変異体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物として一価形態で表示される。ファージ表示変異体は、ついで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。改変の候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。あるいは、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体と標的ポリペプチドとの接点を同定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここで詳しく記述した技術による置換の候補である。そのような変異体が生成されたら、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択することができる。]
[0143] 抗ヘッジホッグ抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で周知の種々の方法によって調製される。これらの方法には、限定されるものではないが、オリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、そして抗-TAT抗体の早期に調製した変異体又は非変異体形のカセット突然変異誘発による、天然ソースからの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)又は調製が含まれる。]
[0144] C.抗ヘッジホッグ抗体の調製
以下の記述は、主として、このような抗体をコードする核酸を含むベクターで形質転換又は形質移入された細胞を培養することにより抗ヘッジホッグ抗体を生産することに関する。当然ながら、当該分野においてよく知られている他の方法を用いて、このような抗体を調製することができると考えられる。例えば、適切なアミノ酸配列、又はその一部は、固相技術を用いた直接ペプチド合成によって生産してもよい[例えば、Stewart等, Solid-Phase Peptide Synthesis, W.H. Freeman Co., San Francisco, CA (1969);Merrifield, J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2154 (1963)参照]。手動技術又は自動によるインビトロタンパク質合成を行ってもよい。自動合成は、例えば、アプライド・バイオシステムズ・ペプチド合成機(FosterCity, CA)を用いて、製造者の指示により実施してもよい。このような抗体のの種々の部分は別々に化学的に合成され、化学的又は酵素的方法を用いて結合させて所望の生成物を生産してもよい。]
[0145] 1.宿主細胞の選択及び形質転換
宿主細胞を、ここに記載した抗ヘッジホッグ抗体生産のための発現又はクローニングベクターで形質移入又は形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適当に変性された従来の栄養培地で培養する。培養条件、例えば培地、温度、pH等々は、過度の実験をすることなく当業者が選ぶことができる。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原理、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M.Butler編 (IRL Press, 1991)及び上掲のSambrook等に見出すことができる。]
[0146] 真核生物細胞形質移入及び原核生物細胞形質転換の方法、例えば、CaCl2、CaPO4、リポソーム媒介及びエレクトロポレーションは、通常、当業者に知られている。用いられる宿主細胞に応じて、その細胞に対して適した標準的な方法を用いて形質転換はなされる。上掲のSambrook等に記載された塩化カルシウムを用いるカルシウム処理又はエレクトロポレーションが、一般的に原核生物に対して用いられる。アグロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、Shaw等, Gene, 23:315 (1983)及び1989年6月29日公開の国際公開第89/05859号に記載されているように、或る種の植物細胞の形質転換に用いられる。このような細胞壁のない哺乳動物の細胞に対しては、Graham及びvan der Eb, Virology, 52:456-457 (1978)のリン酸カルシウム沈降法を使用することができる。哺乳動物細胞の宿主系形質転換の一般的な態様は米国特許第4399216号に記載されている。酵母菌中への形質転換は、典型的には、Van Solingen等, J. Bact., 130:946 (1977)及びHsiao等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979)の方法に従って実施される。しかしながら、DNAを細胞中に導入する他の方法、例えば、核マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、無傷の細胞、又はポリカチオン、例えばポリブレン、ポリオルニチン等を用いる細菌プロトプラスト融合もまた用いられる。哺乳動物細胞を形質転換するための種々の技術については、Keown等, Methodsin Enzymology, 185:527-537 (1990)及び Mansour等, Nature, 336:348-352 (1988)を参照のこと。]
[0147] ここのベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、原核生物、酵母菌、又は高等真核生物細胞を含む。適切な原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えば大腸菌のような腸内細菌科を含む。種々の大腸菌株が公衆に利用可能であり、例えば、大腸菌K12株MM294(ATCC31,446);大腸菌X1776(ATCC31,537);大腸菌株W3110(ATCC27,325)及びK5772(ATCC53,635)である。他の適切な原核動物宿主細胞は、エシュリキア、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルビニア(Erwinia)、クレブシエラ(Klebsiella)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア、例えば、セラチアマルセサンス(Serratia marcescans) 、及び赤痢菌、並びに桿菌、例えばバシリスブチリス(B. subtilis)及びバシリリチェニフォルミス(B. licheniformis)(例えば、1989年4月12日公開のDD266,710に記載されたバシリリチェニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿筋及びストレプトマイセスなどの腸内細菌科を含む。これらの例は限定ではなく例示である。株W3110は、組換えDNA生産発酵のための共通の宿主株であるので一つの特に好ましい宿主又は親宿主である。好ましくは、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌する。例えば、株W3110は、宿主に外来のタンパク質をコードする遺伝子における遺伝子変異に影響を与えるように修飾してもよく、そのような宿主の例としては、完全な遺伝子型tonAを有する大腸菌W3110株1A2;完全な遺伝子型tonA ptr3を有する大腸菌W3110株9E4;完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT kanr25を有する大腸菌W3110株27C7(ATCC55244);完全な遺伝子型tonA ptr3 phoA E15 (argF-lac)169 degP ompT rbs7 ilvG kanrを有する大腸菌W3110株37D6;非カナマイシン耐性degP欠失変異を持つ37D6株である大腸菌W3110株40B4;及び1990年8月7日発行の米国特許第4946783号に開示された変異周辺質プロテアーゼを有する大腸菌株を含む。あるいは、クローニングのインビトロ法、例えばPCR又は他の核酸ポリメラーゼ反応が適している。]
[0148] 完全長抗体及び抗体断片は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要ない場合に、細菌で産生させることができる。完全長抗体は、血液循環でより長い半減期を有する。大腸菌での産生が、より迅速でより費用効率的である。細菌での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5648237号(Carter等)、米国特許第5789199号(Joly等)、及び翻訳開始部位(TIR)及び発現と分泌を最適化するシグナル配列を記載している米国特許第5840523号(Simmons等)を参照のこと。これら特許は、ここに参考文献として取り入れられている。発現の後、抗体は、大腸菌細胞ペーストから可溶性分画へ分離し、例えば、アイソタイプによってプロテインA又はGカラムを介して精製することができる。最終精製は、例えば、CHO細胞で発現させた抗体を精製するための工程と同じようにしておこなうことができる。]
权利要求:

請求項1
重鎖及び軽鎖を含み、ここで、該重鎖がHCHVR1(配列番号2)、HCHVR2(配列番号4)及びHCHVR3(配列番号6)の抗体結合領域を含む、抗ヘッジホッグ抗体。
請求項2
LCHVR1(配列番号10)、LCHVR2(配列番号12)及びLCHVR3(配列番号14)の抗体結合領域を含む軽鎖を更に含む、請求項1の抗ヘッジホッグ抗体。
請求項3
アミノ酸残基70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグに結合する抗ヘッジホッグ抗体。
請求項4
抗体が95.9である請求項2又は3の抗ヘッジホッグ抗体。
請求項5
抗ヘッジホッグ抗体に接触させ、結合強度を測定することにより、組織中のヘッジホッグの発現を検知することを含み、ここで、前記ヘッジホッグ抗体が、アミノ酸残基70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグに結合する、組織中のヘッジホッグ発現の検出方法。
請求項6
組織が腫瘍又は癌である、請求項5の方法。
請求項7
組織を測定の前に宿主から除く、請求項6の方法。
請求項8
抗ヘッジホッグ抗体に接触させる前の組織サンプルがFFPEである、請求項7の方法。
請求項9
検知方法が、IHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される、請求項5の方法。
請求項10
結合特異性が抗Hh抗体H160より大きい、請求項5の方法。
請求項11
抗ヘッジホッグ抗体が、shhへの結合について、ptchと競合しない、請求項5の方法。
請求項12
抗ヘッジホッグ抗体が95.9である、11の方法。
請求項13
抗ヘッジホッグ抗体がアミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合する、腫瘍組織又は腫瘍の周辺組織に、抗ヘッジホッグ抗体を接触させること、及びヘッジホッグが正常組織に比べ、前記組織内で過剰に発現しているかどうかを決定することを含み、ヘッジホッグアンタゴニストに応答する腫瘍を同定するための方法。
請求項14
測定の前に宿主から組織を取り除く、請求項13の方法。
請求項15
抗ヘッジホッグ抗体に接触させる前の組織サンプルがFFPEである、請求項14の方法。
請求項16
検知方法が、IHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される、請求項13の方法。
請求項17
抗ヘッジホッグ抗体の感度が抗ヘッジホッグ抗体H160よりも大きい、請求項13の方法。
請求項18
抗体が、Shhへの結合について、ptchと競合しない、請求項13の方法。
請求項19
抗体が、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される、請求項18の方法。
請求項20
(a)患者から切除した腫瘍組織及び/又は腫瘍の周辺組織に、抗ヘッジホッグ抗体を接触させることを含み、ここで、前記抗ヘッジホッグ抗体が、アミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合し、(b)ヘッジホッグの発現の存在を検知し、(c)ヘッジホッグの発現を、正常又は腫瘍に関連しない同じ型又は由来の組織の発現と比較し、ここで、ヘッジホッグの過剰発現は、患者がヘッジホッグアンタゴニスト応答癌を有することを示唆する、患者の癌に応答するヘッジホッグアンタゴニストを検知する方法。
請求項21
測定の前に宿主から組織を取り除く、請求項20の方法。
請求項22
抗ヘッジホッグ抗体に接触させる前の組織サンプルがFFPEである、請求項21の方法。
請求項23
検知方法が、IHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される、請求項20の方法。
請求項24
結合感度が抗Hh抗体H160よりも大きい、請求項20の方法。
請求項25
抗体が、Shhへの結合について、ptchと競合しない、請求項20の方法。
請求項26
抗ヘッジホッグ抗体が、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される、請求項25の方法。
請求項27
抗ヘッジホッグ抗体がアミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合する抗ヘッジホッグ抗体、並びにそのような組織をそのような抗ヘッジホッグ抗体と接触させること、及び結合の強度を測定することを含む、組織中でヘッジホッグが過剰発現しているかどうかを決定するための指示書を含む、ヘッジホッグ発現を測定するための製造品。
請求項28
組織が腫瘍又は癌である、請求項27の方法。
請求項29
測定の前に宿主から組織を取り除く、請求項27の方法。
請求項30
抗ヘッジホッグ抗体に接触させる前の組織サンプルがFFPEである、請求項29の方法。
請求項31
検知方法が、IHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される、請求項27の方法。
請求項32
結合感度が抗Hh抗体H160よりも大きい、請求項27の方法。
請求項33
抗体が、Shhへの結合について、ptchと競合しない、請求項27の方法。
請求項34
抗ヘッジホッグ抗体が、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される、請求項33の方法。
請求項35
組織を抗ヘッジホッグ抗体と接触させること、及び結合の強度を測定することを含み、組織がヘッジホッグ抗体に結合して、ヘッジホッグシグナルを過剰発現しているかどうかを決定することを含み、ここで、抗ヘッジホッグ抗体は、アミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合する、癌を発生するリスクのある患者の異常組織の成長をスクリーニングする方法。
請求項36
組織が腫瘍又は癌である、請求項35の方法。
請求項37
測定の前に宿主から組織を取り除く、請求項35の方法。
請求項38
抗ヘッジホッグ抗体に接触させる前の組織サンプルがFFPEである、請求項37の方法。
請求項39
結合感度が抗Hh抗体H160よりも大きい、請求項35の方法。
請求項40
抗体が、Shhへの結合について、ptchと競合しない、請求項35の方法。
請求項41
検知方法が、IHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される、請求項35の方法。
請求項42
抗ヘッジホッグ抗体が、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される、請求項41の方法。
請求項43
(a)癌組織又はそのような癌の周辺組織に、抗ヘッジホッグ抗体を接触させ、ここで、前記抗ヘッジホッグ抗体が、アミノ酸残基の70から96の領域中のエピトープにおけるヘッジホッグポリペプチドに結合し、(b)ヘッジホッグが過剰発現していることを決定する工程を含む方法によって、ヘッジホッグの過剰発現が事前に検知され、ヘッジホッグを過剰発現する癌組織又はそのような癌組織の周辺組織を有する患者にヘッジホッグアンタゴニストの有効量を投与することを含む、癌の治療方法。
請求項44
測定の前に宿主から組織を取り除く、請求項43の方法。
請求項45
抗ヘッジホッグ抗体に接触させる前の組織サンプルがFFPEである、請求項44の方法。
請求項46
検知方法が、IHC及びウェスタンブロットからなる群から選択される、請求項43の方法。
請求項47
結合感度が抗Hh抗体H160よりも大きい、請求項43の方法。
請求項48
抗体が、Shhへの結合について、ptchと競合しない、請求項43の方法。
請求項49
抗ヘッジホッグ抗体が、95.3、95.7及び95.9からなる群から選択される、請求項48の方法。
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